2007年04月06日
番外編 夜の座談会(前編)
価値観が現場と上層部で離れている!? 今回は、GHC渡辺の“同窓会”にお邪魔してきました。どんな同窓かというと、渡辺がジョンソン&ジョンソン株式会社時代の2002年に、同社主催の研修ツアーでシンガポールのビジネススクールに約1週間ともに通った仲間とのこと。一人は、某市立病院に勤務する宮川部長(通称「シュンちゃん」)、もう一人は都内某病院の勤務医で通称ケンちゃん。約2年ぶりの再会に話は盛り上がりつつも、二人とも勤務医という立場共通の悩みを抱えているようで…。
長いので前編・後編にわけて掲載します。
*S=シュンちゃん、K=ケンちゃん、W=渡辺
S 平成14年だから、もう5年前だね。
W 何が一番楽しかった?
S さっちゃんは行っていないと思うけど、ナイトサファリは印象深い。さっちゃん、授業以外の時間で仕事をしていたよね。
W そうねぇ(笑)。他は?
S あとは、女性医師だけの病院の院長先生の講義がおもしろかった。女性医師にいかに働いてもらうかという話。
W あぁ! でも、シュンちゃんは英語がわからなくて、大変そうだったよね(笑)
S 経営の話だから、日常会話レベルの英語より難しかったんだよ。
W ところで、近況報告を! ケンちゃんは最近どう?
K ウチの病院は「今年度中にDPCに入ろう」と、手上げして突き進んでいるところ。
W でも今年度手上げがあるかどうかがまだわからないよね。たぶん5月中にわかると思うけれど。
K よく「急性期として残るにはDPCを導入しないと!」って言うけれど、急性期じゃないと病院はいけない? 急性期以外でも生き残る道があると思うんだけれど。
W それはそう。多くの場合は、経営者のこだわりとプライドかしら。
S 急性期病院だって、受け入れ先がないと運営できないしね。退院後の受け入れ先を持っている病院が儲かっている気がするな…。
K ウチの病院のカラーは、急性期に合わないと思うんだ。どちらかといえば“規模は大きいけれど開業医”という感じだから。何かあったら最初から最後まで看てほしいという患者さんがほとんどだから、病気によってある決まった期間が経ったら退院していただくというお仕着せをしてしまっても満足度は上がらないと思う。
W なるほど。
K 包括化されたら、「過少な医療でコストを下げれば…」という発想が起こるでしょう?
W そうではないよ。だって、必要な治療をやらなかったら、医療にならないでしょう? DPCで大切なのは、標準化を通して本当に必要な医療を考えること。
K 上層部から「DPCを導入しないと生き残れない!」と言われたとき、現場は最初「?」という感じだった。「2次・3次救急を受け入れなきゃダメ」と言われても、医師・看護師どちらも「えっ」っと思って、価値観が現場とかけ離れていっている気がする。
S トップが、自院にとって壊しちゃいけない部分をそのまま守って、ぶれないことが大切だよね。でないと、下にいる人間はすごく困るから。
W シュンちゃん、良いこと言う!(と言いながら、シュンちゃんの肩をバシッ!と叩く) 病院の理念はぶれちゃいけない。収入面ではマイナスでも、“正しい医療”って絶対にあるから。どの国でもこの問題は同じで、正しい医療についてもっと主張するべきだと思う。
K 大きく主張してくれる人がいないんだよね。
W でも、医療の質について注目され始めているのも事実だと思う。ただ、その評価はまだマチマチだけれど。
確かにどんな医療が一番良いのか、という問題はすごく難しい。とことん検査をして、とことん治療をするのが患者にとって優しい医療だけど、日本国民がそれを社会保障として許容するかどうか。国民が「保険料や自己負担を増やしてでも、医療を手厚くしてほしい」と望んでいれば別だけれど、コンセンサスはないよね。
K なるほど。
S たとえば、退院日の昼食代がもともと入院費に含まれている場合、食べなかった人はその分の代金を差し引くようにしたら、食べずに帰る人がすごく増えたんだよね。つまり、「お金を請求されたら食べない」という人がほとんどだった。医療に関しても「タダだったら」という感覚があるんだと思う。
K 今の医療は社会主義で成り立っていることを国民は忘れているしね。だから「払うお金次第で医療に差がある」ということはなかなか受け入れがたいんだと思う。
~後編に続く~
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