2007年04月06日
番外編 夜の座談会(後編)
神様はちょうど乗り越えられる試練を与える前編に引き続き、渡辺と勤務医のケンちゃん・シュンちゃんの同窓会の様子をお伝えします。夜も深まり、お酒も進むにつれ、話はさらに深刻に…!?
W シュンちゃんの近況は?
S 相変わらず、仕事。
W 休みの日は?
S 休みの日も仕事があるから! 平日に終わらなかった事務系のこととか、学会関連のこととか…。本当に勤務医はツライよ!
W 一般企業よりも忙しいね。
S そうだよ~。
K だから、今の若い人は、専門医の資格を取ったら開業しようと考えている人が多いよね。虎の門病院の先生が、「病院勤務医が現場からどんどん離れている」ということを本『医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か』(小松秀樹著、朝日新聞社刊)で言っていたけれど、本当に勤務医として残るのは、まぁ、僕みたいなお人よしだけになっちゃうよね…。あとは、研究志向の人が大学病院に残るだけで、勤務医はますます少なくなるだろうね。
W じゃぁ、勤務医のモチベーションは?
K 昔は、9時から17時とか、常識的な時間にだいたい終わって、その後の時間はフリーに使えた時代もあったんだよ。今ではとんでもないけどね。昔は当直を免除されていた管理職も、当直するようになったって話もしょっちゅう聞くよ。管理当直だって! 勉強したい人は学会に行く余裕がある時代もあったんだ。今となっては夢物語だけどね。今の勤務医にとっての最後の砦は、「先生に会えて良かった!」と患者さんに言われること。これはもうホントに最後の砦だよ。でも、医療不信がここまでマスコミに煽られた現代じゃ、これさえも危ういんだ。
W 患者さんに感謝されるのは本当に大切なことよね。
K でも、たくさんの患者さんを診たからといって、自分の給料が上がるわけではないけれど。
W 診療報酬も開業医のほうが優遇されているしね。
S 神奈川県でも、横浜・川崎はどうやら研修医が募集に応募してくれるようだけど、小田原より西に行くと医師がなかなか集まらない。
K 大阪の国立循環器病センターのICUの医師も5人全員辞めちゃったし。メジャーな病院でさえ、そうした問題が現実に起こっているもんねぇ。
W 勤務医は厳しいね。でも、私もここ4年間、プライベートはほとんどないなぁ…。色々問題も起こるし、早く人間になりた~い(笑)
K でも、神様はちょうど乗り越えられるだけの試練を与えるんだよ。だから、試練を与えられた人は選ばれた人間なの。さっちゃんは“セレクティブ”な人なんだよ。Finally you will win!
W じゃぁ、最後はハッピーで死ねるかなあ。そう思うと楽だわ!
S では、そろそろお開きにして…。もう一軒行く?
K 明日は外来なんだ。土曜日は17時までかかると思う…。
W うわー。勤務医は大変だぁ~。
■同窓会にお邪魔して…by ライター・橋口
これまでブログに登場いただいたのは院長先生が多かったのに対し、今回はお2人とも勤務医ということでいつもとちょっと違うトーンでしたがいかがでしょうか? 今の日本の医療現場のリアルな現実が垣間見られたように思います。また、私の父が勤務医であるため、個人的に「そうですよね!」と思うことが多々ありました。ケンさんは「勤務医として残るは僕のようなお人よしくらい…」とおっしゃっていましたが、実際、医師の善意と使命感で成り立っている部分は大きいと思います。「勤務医はツライ」――。そんな理由で開業する人も増えていますが、それを責めることはできません。患者さんは「先生ががんばってくれなきゃ…」と思うかもしれませんが、医師も一人の人間。娘としては、「他人の命を預かる仕事とはいえ、自分の健康をまず大事にしてほしい」と思います。「患者さんからの『ありがとう』という言葉」という最後の砦が崩れる前に、医師の善意や使命感だけに頼らない環境・システムを構築しなければ…と改めて感じました。
最後に、突然お邪魔させていただいたにもかかわらず(しかも最初はケンさん・渡辺が仕事の都合で遅れ、シュンさんとさしで飲ませていただきました!)、にこやかに迎えてくださり、いろいろとお話を聞かせてくださったケンさん、シュンさん、どうもありがとうございました。
—–
広報部 |
|
事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
|