GHCブログ
2013年11月18日
クィーンズメディカルセンター(QMC)との日本病院の平均在院日数の比較
■オバマケアと拡張型DRG 次に、最近、米国の医療改革流れの代名詞として耳にする機会の多い「オバマケア」について、マークは、米国の医療業界は、「各施設で医療が分断され、質よりも量(患者数)を重視」して稼いでいく形から、統合された医療の「品質」と「価値」を重視した形へシフトしている状況にある」と指摘。これは、病院が退院後の患者の状態(再治療)などにも責任をもち、退院後も後方支援病院などと連携しながら「医療の質」を保ち、責任を担わなければならなくなってきている(拡張型(expanded) DRG、もしくは、バンドルドペイメント(Bundled Payment))ことです(図参照)。拡張型DRG(EDRG)につきましては、GHCのアキよしかわ「米国における EDRG の試行:入院からその後のリハやケアまでを包括する支払制度」として、『マンスリーレポート』(2013年4月号)で図を入れながら詳しく説明していますので、あわせてご参照ください。 ※『マンスリーレポート』(2013年4月号) /wp-content/uploads/post/2882/3dab3ec36552d30e9e05e387d9c98a22.pdf 米国では、質に対する支払いも開始。その方法とは、たとえば心不全における30日以内の再入院率などいくつかの指標について、全米平均より低いと支払いを1%削減される、といったような方法です。難しいのは、各病院が何とか支払いを減らされないように、と努力すると、平均値が下がるので、さらに努力を続けなければいけないことです。日本のDPC病院の機能評価係数Ⅱも、ここまで直接的ではありませんが、よく考えると相対評価ですのでこのような仕組みになっていますね。米国でのこの支払制度は始まったばかりですが、うまくいったら日本でもより同様の仕組みが取り入れられるかもしれません。 さらに、医療制度改革を推進していく上では3つの目標―(1)医療が提供されていない人への治療提供(2)地域全体の健康向上のための病院のかかわり(3)医療費の抑制―を同時に追求していかなければならないことを指摘。マークは、「これらを実現することが出来れば、クィーンズメディカルセンターが掲げるミッションも達成することができる」と、米国での現在の医療制度改革(オバマケア)が推進されることへの期待を示し、自身がオバマ大統領を選出している民主党員であるからというジョークも交えながら、オバマケア推進へエールを送りました。 マークの講演のポイントは、「“オバマケア”は、国民皆保険改革の話がメインではなく、メインは米国の病院での医療提供体制改革の話がメインである」ということでした。 最後に、マークは、今後は、「患者第一主義」で医療の質と価値を重視した形での統合された医療提供体制を築いていくことの重要性を説き、講演を締めくくりました。 講演後、参加者からは「クィーンズメディカルセンターでの勤務医は、どういった給与体系になっているのか?」、「(日米の違いはあるにしろ)給与区分の違いがある医者同士では、チームワークは難しくないか?どのようにチームワークを取っているのか?」といった、日米の病院経営の関係者が集まったセミナーにふさわしい組織マネジメントの面での視点の質問が相次ぎました。 【参考資料】 ・「米国における EDRG の試行:入院からその後のリハやケアまでを包括する支払制度」『マンスリーレポート』(2013年4月号) /wp-content/uploads/post/2882/3dab3ec36552d30e9e05e387d9c98a22.pdf広報部 | |
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