GHCブログ

2007年05月22日

広島赤十字・原爆病院●医事管理課 西田節子課長

データはあるだけではダメ!



 今回は、5月22日に行った、新社会システム総合研究所主催のセミナー「DPC環境下の日本のがん医療」にご参加いただいた広島赤十字・原爆病院の西田節子・医事管理課課長にインタビューさせていただきました。セミナー後の夕食会でワインを飲みつつのインタビューでしたが、西田課長の飽くなき向上心、チャレンジ精神、聡明さに、すっかりファンになりました。

――まずは、病院の概要についてお聞かせください。

 当院は、二次医療圏内に、都道府県がん診療拠点病院である大学病院のほか、地域がん診療連携拠点病院である県立病院、市立病院とウチと、がん拠点病院が4つもあるという特殊な環境にあります。その他にも近隣には、2つの国家公務員共済組合会病院と鉄道病院、200~300床クラスの公的病院、私立病院が乱立している、いわゆる密集地区です。二次医療圏に4病院もがん診療連携拠点病院があるなど、他の県ではありえない設定ですが、各々の病院は分担してがん治療を行っています。当院は666床の急性期病院で、固形がん治療も当然行っていますが、血液がんについては、ほぼ当院で診ています。どちらかといえば”内科的急性期病院”なんですね。がんセンターなどと違って、がん以外の患者さんも診ていますので、なかなか外来患者数を減らすことが難しいです。それで逆紹介患者数の少ないドクターからいろいろと話を聞いてみると、どうやら「自分の患者は最後まで自分が診たい」というタイプと、地域の先生方には失礼な言い方ですが「自分の患者を安心して任せられるような高度なレベルの病院があまりないから」というタイプの2つがあるようなんです。これは何とかしなくてはいけない問題だと思っています。

――なるほど。ところでDPCは、昨年、準備病院になったんですよね。

 やはりドクターへの負担が増えてしまいますね。当院では、平成16年に電子カルテを導入しましたが、それ以前から内科系診察室にはメディカル・セクレタリー的な事務員を配置して、ドクターの仕事を軽減するようにしていました。ドクターが、患者さんを診察室に呼び入れたり、検査の場所を説明したりすることは時間がもったいない。その間にお待たせしている患者さんを一分でも早く一人でも多く診てもらいたい…。それから、DPCの様式1の入力もシステムからconvertできるものはして、事務系が入力できるものは入力して、医師の入力部分は最小限にしています。これは「院内がん登録」も同様です。院内では医師、看護師、薬剤師、検査技師など多くの職種がプロフェッショナルとして働いているのですから、当然、事務職員も病院事務職員のプロとして働いてもらいたいと思っています。ここまでやって、ようやく先生方の協力が得られるようになります。  今回はGHCさんにベンチマークをしていただいて、科別に結果報告をしてもらっていますが、当初「DPC準備病院なんかにならなくてもいい」と言っていた先生方が、詳細なデータ報告のおかげで、「どうしたらいいのか?」と積極的に質問をされ、経営についても主体的に考えてくださるようになりました。それもこれも、当課の事務職員が頑張っている姿を評価してもらえたことと、説得力のあるデータを提示して下さった、貴社のおかげと思っています。

――西田課長ご自身は、毎朝早めに病院に行って、他のスタッフが来る前に仕事をこなすのが日課とか…? お忙しいですね。

 始業時間になると、何かと仕事が舞い込んできますから…。人がいない早朝のほうが、誰にも邪魔されず(仕事が)はかどるので。  実は今年の4月から、社会人枠で大学院にも通っています。広島大学大学院保健学研究科で健康情報学を学んでいます。数理モデルを使ったデータ解析の方法などについて勉強を始めたのですが、「データはあるだけではダメで、活用しなければ!」と考えたことがきっかけなんです。そもそも私にこの考えを教えてくれたのはアキさんです。7年前にアキさんの講演を聞いたのが、1つのきっかけでした。ベンチマークという言葉を初めて聞いて、「…? ベンチマークって何?」と思いながらも、目からうろこ状態で、いつか自院でもベンチマークをしてもらいたいと心に決めました。ただ、そのときにはまさか日本の医療界がここまで進んで、私自身も(データ分析などを)するようになるとは思いませんでしたが…(笑)。今は念願かなって、貴社と契約し、自院のデータ活用ができるようになり、「ラッキー!!」と思っています。大学院の授業は「さっぱり分かりません」状態ですが、同年代の友人もでき、息子と同じ年代の同級生(笑)に教えてもらいながら、忙しくもわくわく胸踊る楽しい日々を過ごしています。


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広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。