2007年11月08日
医療の質セミナー第2弾、質問飛び交い大盛況!!
2月に開催した「医療の質セミナー」の第2弾セミナー、「医療の質と病院経営~DPCの環境をいかに生き抜くか!?~」が無事に、有意義に終了いたしました。
前回同様にメイヨークリニック「医療の質と安全」委員会委員長のリチャード・ジマーマン医師をアメリカから招き、日本からは聖路加国際病院ブレストセンター長の中村清吾氏、千葉県がんセンターの竜崇正センター長と素敵なスピーカーにご登場いただきました。
GHC会長よしかわの開会の辞に続いて、まず中村氏が「電子カルテシステムを利用した医療の質の評価」と題して、聖路加国際病院でのこれまでの取り組みについて講演。特に「電子カルテの導入によって得られたデータ、そしてシステム化によってゆとりが出た人材を有効に使うことによって、クオリティインディケーターを算出し、質を測ることはできないか?」というチャレンジについて話してくださりました。同院では国内外の文献等を参考に、どのような指標があるかを院内で検討。その結果、60項目に絞られ、それらの指標のアウトカムをレポートとしてまとめたとのこと。さらに、「カイゼン指標なので数年に1回では意味がない」と、半年に1回程度の更新をめざし、昨年12月に第2弾を発行、今月には第3弾が出る予定で、指標は当初の倍の120項目程度になっているそうです。
続いて登壇したのは、千葉がんの竜センター長。手術倍増計画や外来化学療法の充実化、新規患者優先の外来など、実際にどのような取り組みを行ってきたのかについて、その結果も含めて紹介してくださりました。平成16年度は2,032件だった手術件数は、18年度には2,623件にまで増えたそうです。また、「安全管理」という観点から、プロトコールを整備したこと、電子カルテを導入したこと、チーム医療を強化したことなどの説明もありました。
最後はジマーマン氏の特別講演。「メイヨー・クリニックでは、たとえ推奨されているプロセスでも、1つのソースから出てきたものをそのまま採用することはしません」という言葉に表れているように、メディカルリサーチやサイエンスの限界をふまえたうえでの質向上にまつわる話でした。臨床研究での結果と実際の診療での結果は同じか? 初期の臨床研究結果はさらなる研究によって変わるか? など、医療の難しさを浮き彫りにするさまざまな問いかけがありました。さらに最後に指摘したのが、“カジュアル・ベンチマーク”について。ベンチマークはもちろん重要だけれど、「他でやっているから」「他の病院がそうだから」という理由だけでそのまま真似してはいけないという警鐘でした。
このほか、GHC社長の渡辺も講演を行い、実証分析の実事例を紹介しながら、DPCデータから見える医療の質について、その限界にも言及しつつ紹介しました。
と、講演だけでも密度の濃い内容でしたが、今回は最後に質疑応答の時間も。残念ながら中村先生は次の予定があり、不参加でしたが、ジマーマン氏、竜センター長へ、会場から、さらにはお互いから多くの質問が飛び交い、かなり充実した時間だったと思います。「(ジマーマン氏に対して)P4Pについてはどうお考えですが?」「(竜先生に対して)手術倍増計画などでは、現場の医師に負担がかかると思いますが、どんな配慮を?」「(ジマーマン氏から)日本では医療過誤、ミスをどのように測定しているのか?」など、どれも興味深い内容でした。このうち、P4Pの質問に対するジマーマン氏の回答は、「米国の医師と病院は反対している。なぜなら、第1にP4Pのようにプロセスに基づいたは指標はプロセスに過ぎず、アウトカムの指標としては曖昧で不十分であること。第2に技術は急速に進化しており、今日のプロセス指標は明日には時代遅れのものになってしまうからだ」というものでした。
セミナー終了後にはレセプションも開催。ジマーマン夫妻、竜先生はじめ、お世話になっている方々にご参加いただき、美味しい食事とビール・ワイン、そして会話を楽しみました。
セミナーも、レセプションも、ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました!
広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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