GHCブログ

2008年06月24日

普及期から、情報の活用へ…DPCの展開

6月20、21日と名古屋国際会議場で開催された「第10回日本医療マネジメント学会」(会長・トヨタ記念病院稲垣春夫院長)に行ってきました。

10ヵ所の会場で同時進行で、いろいろなシンポジウムや一般講演が繰り広げられているので、さすがに一部しか把握できていませんが、いくつかピックアップして紹介します。

20日の朝一で見たのが、シンポジウム「DPCと医療マネジメント」。このセクションでは4人の演者が登壇。まず、東京医科歯科大学の伏見先生が「DPCによる医療の標準化の評価」と題して講演し、同一のDPCでも病院によって診療プロセスには大きな違いがあること、特に症例数の少ない医療機関でガイドラインから外れた医療が認められたことを、データを基に指摘しました。

そして最後に登壇したトヨタ記念病院の安田副院長は、2006年度にDPCを導入するに当たってどのような取り組みを行ってきたかを紹介。同院では、以下の3つの視点から、まず取り組みを始めたそうです。  ①コストの視点:出来高との比較でマイナスが大きい症例をピックアップ  ②在院日数の視点:特定入院期間超えの比率が高いDPCをピックアップ  ③他施設との診療内容比較の視点:DPC経営管理・臨床評価 安田副院長は、「クリティカルパス」「臨床指標」「患者さんアンケート」というこれまで採用していた3つのツールに、「DPC」が加わることで、「“ベストプラクティス”に向けた“ものさし”がすべて揃う」と、管理ツール、診療内容の比較ツールとしての重要性を強調しました。

クリティカルパス+DPC+臨床指標+患者さんアンケート⇒ベストプラクティス

最後の質疑応答のコーナーでは、「2年ごとに改定あるため、臨床指標による比較がとりにくい」「地域によっては、症例数が少なくても受けざるを得ない病院がある…」など、DPCデータから情報の活用の仕方に言及するコメント、質問が目立ちました。 急性期病院においてDPCがある程度普及し、一病院の医療の質、そして全国的な医療政策にいかに活用するか…という新たなフェーズに入っていることを実感したシンポジウムでした。

会場は満席!





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広報部
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。