2008年07月08日
標準化を進めるカギは看護師のパワー
西澤延宏先生●佐久総合病院診療部長、DPC対策委員長「農民とともに」をスローガンに地域医療を担い、その健康管理活動がテレビ番組「プロジェクトX」(NHK総合)でも取り上げられるなど、地域に根ざした病院として全国的に有名な佐久総合病院。一方で、都会と変わらないレベルの医療設備を整え、高度な専門医療を提供するという特徴も兼ね備えています。そんな二足のわらじを履く同院の診療部長として、夏川院長の右腕を務めるのが、西澤延宏先生です。
今回は、診療部長という肩書きとは裏腹に、スタッフからも“西ちゃん”の愛称で親しまれる気さくな西澤先生にお話を伺いました。
――佐久総合病院は、2003年にはDPCの調査協力病院となり、2006年4月からDPCを導入していらっしゃいます。そして、先生は診療部長でいらっしゃると同時に、DPC対策委員長も務めていらっしゃいますよね。どういう経緯で担当することになったのですか?院長から「やってくれ」と言われて、引き受けたまでのことで…。外科は体育会系なので、上からの命令は絶対なんですよ(笑)。ただ、その代わりにお願いしたのが、地域連携の専任ナースとパス専任ナースをそれぞれ配置してほしいということ。それで、地域連携の専任として山田看護師長、パス専任として依田看護師長というマネジメント能力の高い2人を起用してもらいました。
あと、人と違うことをやるのが好きなので、誰も経営のことを考えないから自分がやろうと考えただけ。現場の医師、看護師が仕事をしやすいように考えるまでのことです。
――先生は、DPC環境下でうまくいくコツは看護師にあるというお考えと聞きました。コードを決めるのは医師ですが、実際は看護師がキーになると思っています。というのは、標準化をリードするのは医師ではなく、看護師だからです。院内のさまざまな部門に関与し、マネジメント能力を持って、現場を動かしているのが看護師。医者は、診療と研究に専念すれば良いと思うのです。
――看護職は院内で一番人数の多い職種ではありますが、一般的には医師のほうが強いといイメージがあります。特に診療の標準化というと、診療スタイルにも踏み込むことになるので、なかなか難しいのではないかと思うのですが…。当院は、もともと看護職が非常に元気のある病院なんですよね(笑)。それに「患者さんのために」が、医師も含めた院内全体の核となっている信念ですから、これを出されたら皆納得するわけです。
こうした変化や改革を受け入れる土壌ができあがったきっかけの1つは、1999年に開設した日帰り手術センターです。おそらく、田舎にある病院で日帰り手術センターを持っているのは当院くらいだと思います。当初は「患者さんたちに受け入れられるのか」「本当に必要なのか」という反対の声もありましたが、当時、副院長だった夏川(院長)がリードして進めたんです。始めてみると、「早く家に帰れる」と患者さんにも非常に喜ばれています。地方では事例がないなかで日帰り手術センターの必要性を訴え、準備を進めた、その先見性と行動力については、今でもすごいなと思います。
――あ、渡辺がその昔、お手伝いしていた日帰り手術センターですね。渡辺からよく聞いています。では、最後に、DPC対策委員長として院内をコントロールする秘訣をもう1つ教えてください。当院は初期研修医が30人、後期研修医が40人と、研修医に恵まれています。そういう事情もあって、研修医に勉強させることも秘訣の1つです。たとえば、感染症の予防というテーマを与えたとすると、研修医は必死で勉強します。そして、院内で発表をしてもらう。発表を聞いた医師からはいろいろな質問や反対の声が出るかもしれませんが、ちゃんと調べている研修医はエビデンスを示すことができますから、最終的には皆納得し、自然と標準治療が広まっていくわけです。研修医は勉強ができ、知識が身についてハッピーだし、患者も治療が標準化されることでハッピー、そして病院としても経営的にハッピー。
――なるほど。皆がハッピーになるというわけですね。ありがとうございました!●インタビュー内にも登場した、西澤先生をよく知る看護師さん方からのコメント西ちゃんの口癖は、「よきにはからえ」。「勝手にやれと言われても…」と思うかもしれませんが、西ちゃんの場合、この言葉の裏側には「責任は俺がとる」という言葉がいつも隠れているんです。そんなリーダーシップのある先生です。
[:上:]糖尿病療養指導士の春田さん(左)
[:上:]地域医療連携課師長の山田さん(真ん中)
[:上:]パス専任師長の依田さん(右)
[:星:]いよいよ近づいてきました!
GHCセミナー「医療の質と経営の質」開催!
7月15日(火)東京・国際フォーラム
7月31日(木)大阪・国際会議場
9月30日(火)福岡・国際会議場—–
広報部 |
|
事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
|