2008年07月16日
「医療の質と経営の質」@東京セミナー開催!
昨日、東京国際フォーラムにて「医療の質と経営の質―DPC委員会の最前線―」セミナーを開催しました。このセミナーは、「医療の質と経営の質」の両立を図るために取り組みを進めていらっしゃる病院の先生方を講師に招いて、それぞれの実情を紹介していただこうというもので、参加者は定員の100名を越え大盛況でした。
まずトップバッターとしてご登場いただいたのが、旭川赤十字病院副院長の牧野憲一先生。2006年6月よりDPC対象病院になった同院では、①DPCコーディング委員会、②TQM委員会、③DPC対応経費削減部会――の3つをスタートさせたそうです。このうち、1つ目のDPCコーディング委員会については、同院のコーディング体制を説明したうえで、敗血症、DIC、めまいと脳梗塞という、コーディングを行う際に問題となりがちなケースについて紹介。また、3つ目のDPC対応経費削減部会に関しては、ジェネリック医薬品の導入、PACSの導入によるフィルムレス化、そして、診療科の特性を考慮したコスト管理の必要性についてお話いただきました。たとえば、脳神経外科手術症例の場合、出来高比率が高く、入院0~3日目に大きな収入とコストが発生するため、術後に合併症を起こすことなく早期に退院することが重要。こうした「収益・コスト構造を考慮したマネジメントが必要」と指摘されました。
2番目にご登壇いただいた岩手県立中央病院副院長の望月泉先生は、これまでの病院の取り組みについて語ってくださいました。1998年には累積赤字が約57億円にまで達していたのを、翌99年から単年度黒字に転換し(2002年には診療報酬改定の影響で単年度赤字)、今年度には累積損益でも黒字化する見込みだそうです。“急性期高機能センター病院”をめざした経営改善計画の策定、2004年にスタートした経営5ヵ年計画「Double Winner(経営の質・医療の質)」など、改革のポイントとなった取り組みについてご説明いただきました。また最後に、「ベンチマーク分析を用いた医療の質の確認」として、いくつかの実例をご紹介いただきました。
続いて登壇いただいたのは、千葉県がんセンター経営戦略部長の浜野公明先生。当初は「医療の効率の向上」のためにDPCを導入することを目的としていたものの、現在ではDPCはあくまでも医療の質を向上するための手段であるとい考えに変わっているそうです。では、どのように“手段”としているかというと、1つはDPC分析システム「EVE」を用いたシミュレーションやベンチマーク分析。もう1つはそうした分析を基にしたクリティカルパスの見直しです。さらに、院内がん登録データとの連結によるさらなる分析や、有志専門病院で集まって“顔の見える”ベンチマーク分析(CQI:Cancer Quality Initiative)を行っているというお話もありました。そして講演の最後、「医療の質と効率は両立します。DPCはその絶好のチャンスです」と力強い言葉で締めくくられました。
さらに、3人の先生方に続いて、GHCマネジャーの相馬が講演。DPC環境下における収入構造の構成要素「DPC収入=日当点×在院日数+出来高収入」に関して、「それぞれ制度改定を受けてどのように変わっているのか?」「どういった視点が必要か?」など、さまざまな分析事例を提示しながら説明しました。
セミナーの最後、パネルディスカッションのコーナーでは、演者の先生方同士での質問や会場からの質問を受けて、忌憚ない意見の交換が行われました。
定員いっぱいに集まっていただいた参加者のみなさま、そして貴重な講演を聞かせていただいた先生方、本当にありがとうございました。今月31日には大阪で、9月30日には福岡で同じく「医療の質と経営の質」セミナーを開催します。こちらもぜひ、ご参加ください。
ちなみに、写真は、セミナー後に開かれた恒例の懇親会のようすです。
広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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