GHCブログ

2008年08月01日

「医療の質と経営の質」セミナー、大阪でも大盛況!

7月最終日の昨日、「医療の質と経営の質」セミナーの第2弾を開催しました。場所は、大阪の国際会議場です。

内藤先生 最初の演者は、小牧市民病院の内藤和行医局長。同院は、愛知県の尾張北部医療圏で唯一の救命救急センターを持ち、2005年にはがん診療連携拠点病院の指定を取得するなど、救急医療とがん医療に特に力を入れてきた地域の中核病院です。 最近の厳しい経営環境のなか、政策医療を担わなければならない自治体病院は、なんと総額で6500億円もの赤字を抱えているそうです。小牧市民病院は、給与比率が40%程度にとどまり、経常収支比率も2005年度までは100%を超えて良好な状況だったものの、ここ2年間で電子カルテの減価償却・経費の負担もあり100%を下回る状況になったとのことです。そこで、経営の改善と質の改善を狙って導入したのが、DPCでした。講演では、実際にDPCデータを用いて行っている分析の事例を挙げて、ベンチマーク分析による診療のカイゼンについて紹介してくださいました。

銘苅先生 続いて、浦添総合病院の銘苅晋副院長が「DPC導入の軌跡―当院における医療の質の改善と効率化への取り組み―」と題して登壇。同院が調査協力病院としてDPCに参加したのは2004年7月。翌年に担当責任者を決定し、「DPC対策委員会」を設置、講演会を開催して院内の意識を高めていきました。また、2006年初旬には診療科ごとにDPC分析報告会を実施し、6月から対象病院になっています。さらに、今年1月には「情報分析課」という、まさにデータ分析専門の部署を新設し、事務職員2人を専任で配置したそうです。

川瀬先生 3人目の演者は、松下記念病院のDPC運営委員長・川瀬義夫先生です。川瀬先生は、DPCデータをもとにした分析結果を掲載した「DPC通信」を毎月発行するなど、DPCに非常に精通されています。講演では、基礎編と分析編の大きく2つにわけて発表してくださいました。分析編では、収支分析や、在院日数・平均単価・救急搬送などのベンチマーク分析、コスト分析、マーケットシェア分析と多様な切り口を紹介。そして最後に、「入院期間Ⅱで退院し、稼働率80%を保った場合、急性期のベッド数は30万床、多くても45万床で十分」という、東京医科歯科大学の伏見先生の話を紹介するとともに、2年後に調整係数が廃止されたときのインパクトの大きさについて強調。川瀬先生のざっくばらんな語り口調に会場からは笑いも起こりつつ、みなさん、感心している様子でした。

GHCとみ パネルディスカッション さらに、GHC冨吉のプレゼンを挟んで、セミナーの最後には演者全員が参加したパネルディスカッションを実施。 「人件費率が40%程度におさまっているのは、委託が多いということですか?」 「日帰り入院は、経営上いかがですか?」 「DPCの環境下で、みなさん、取り組みを進められているわけですが、患者さんにとって、そして働いている職員にとって本当に良いのかと改めて考えるといかがでしょうか?」 …など、会場から次々と質問があがり、時間ぎりぎりまで非常に有意義な議論が繰り広げられました。

さらに、場所を移して、今回の演者の先生方を含め20人ほどをお招きして行った懇親会では、セミナー時の熱気をそのまま引継ぎ、本音の話で盛り上がりました。国の財政状況の悪化を背景に、病院の経営は厳しくなっていますが、やはりみなさん、“経営”よりも、“医療”を大切に思っている方ばかり。とはいっても、経営という基盤が成り立たなくては良い医療を提供することはできません。そんなジレンマとともに、医療に対する、患者さんに対する熱い熱気に包まれたひと時でした。

懇親会…もう1つテーブルがあるんです

広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。