GHCブログ

2008年11月05日

幅広い知識習得の機会とさまざまな活躍のチャンスがある薬剤師の仕事はおもしろい

特定・特別医療法人慈泉会相澤病院●薬剤管理情報センター(医薬品情報管理室)・医薬品情報管理室・がん集学治療センター(化学療法科)・中村久美さん



10月25日、GHCでは相澤病院の薬剤師・中村久美さんを招いて勉強会を開催しました。中村さんは、現在、薬剤師としての専門性をさらに高めるため、「がん専門薬剤師」の認定取得に向けて国立がんセンター東病院で勉強をされています。 国を挙げてチーム医療の推進が進められるなかで、それぞれの職種で高い専門性が求められています。NST専門薬剤師、糖尿病療養指導士の認定を取得するなど、専門性に磨きをかけている中村さんは、“薬剤師として”どのようなことをめざしているのでしょうか、もしくは、薬剤師という枠を超えてどのようなことをめざしているのでしょうか。さらに、相澤病院の働きやすさの秘密など、いろいろとお話をうかがいました。

――中村さんにとって、薬剤師として「やりたいこと」とはどういうことなのでしょうか?

私は、情報を適切に伝えるということをしたいと思っています。医療の現場には、患者さんにとって必要で、でも知られていない情報がたくさんあります。そういうことをきちんと伝えてあげると、「ありがとう」と言ってもらえる。それが嬉しいのです。 もともとは、剣道をずっとやっていたこともあって婦人警官になりたいなんて思っていました。ただ、人の命を救う医療っていいなと漠然と考えていて、具体的にやりたいことが出てきたのは実際に薬剤師になって病院で働き始めてからです。 私自身は、薬剤師という仕事は非常におもしろいと感じています。特定の分野に偏ることなく、幅広い知識を身につけることができますし、その知識を患者さんに伝えることができる。さらに、コスト削減やジェネリックの導入にしても、さまざまな取り組みで薬剤は重要なファクターになるので、マネジメント面など、活躍できる場は広いと思うのです。

――今、チーム医療の重要性がいろいろな場所で謳われています。ただ一方で、職種の垣根を越えたコミュニケーションの難しさもあると思いますが…。

今でこそ医師にも気兼ねなく話しかけられるようになりましたが、以前はもっとガードしていました。完璧な知識がなければアレコレ言ってはいけないのではないかと考えて、100%調べてからでなければ何も言えなかったのです。おそらく、そういう薬剤師は少なくないと思います。私も含めて、薬剤師って、コミュニケーションが不得意な人が多いんですね。ただ、あるとき、医師だって100%カバーしているわけではない、知らないこともあるんだと気づきました。そして、もっと自分の専門性に自信をもってアドバイスをしてもいいはずだと思ったのです。 また、当院では人事考課を行っていて、その評価項目の一つに「他部門に対する情報提供」があります。他の部署も巻き込んでセミナーや勉強会を開催することが、人事考課の面でも求められているのです。ちなみに、院外での情報提供も評価項目の1つです。等級によって求められるレベルが異なり、地域レベル、全国レベルと、等級が上がるにつれて対象が高く設定されています。



――「専門性」という点では、中村さんはいろいろな資格を取得していらっしゃいますよね。

資格を取ることが目標ではありません。薬剤師は広い知識を求められるということを先ほど話しましたが、一方では広く浅くなってしまいがちです。もっと一つひとつを深く知りたいと思って勉強していたら、資格がついてきたという感じです。また、資格という肩書きがあることで、医師をはじめとした他のスタッフから意見を聞いてもらいやすくもなります。

――ところで、相澤病院というと、カリスマ院長である相澤先生のリーダーシップの下、非常に柔軟でフラットな組織というイメージがあります。現場で働いていらっしゃるお立場として、働きやすさを感じる部分はどのような点でしょうか?

正直なところ、中にいるとわからない部分というのもあるのですが…(笑)。 一つは、チャンスを与えてくれるということです。たとえば学会に参加するときには出張費も含めてすべて病院が負担してくれるなど、やりたいことを持っているスタッフに対するサポートには糸目をつけない。そういったことを「いいな」と感じる人にとっては非常に良い環境だと思います。 また、「教える」ということに非常に力を入れています。人事考課はシビアですが、そのなかの評価項目でも、教育や情報提供が重視されています。誰かに教えるということは、教える側にとっても非常に勉強になりますし、知識を習得するよい機会になります。

――現在はがん専門薬剤師の認定取得に向けて勉強をされていますが、そのほか目標としていること、関心があることはありますか?

やはり、情報を伝えるということ。患者と医療スタッフだけではなく、医療スタッフ間でも立場によってわかる言葉、わからない言葉があります。院内のイントラネットを使って、情報を集約して発信するということをしていきたい。 また、データをもっと有効に活用できないかということも感じています。院内にある情報をもっと効率よく集める方法はないか、また、データがあるだけでも宝の持ち腐れですので、もっと効果的に利用できるのではないかと考え中です。さらに、そういったデータを分析する観点は、勉強するなかで得られるもの。今、国立がんセンターでがん専門薬剤師の認定に向けて勉強していますが、周りは非常に優秀な方ばかりです。そんな方々に囲まれながら、「自分は何を学んでいるのか」「ちゃんと習得しているのか」と自問自答しているところです。

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広報部
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。