2008年11月10日
「一般市民の視点からDPCの生データを見ることはできないのですか?」――イデアフォーのDPC勉強会にて
昨日、乳がんの患者会「
イデアフォー」の勉強会で、GHC渡辺と相馬がDPCをテーマに講演をさせていただきました。イデアフォーは、乳がんの患者さんを中心に、患者家族や医療関係者、マスコミ関係者、そのほか一般の方など、現在550人ほどの会員を持つ、市民グループです。
そもそも今回の勉強会の開催に至ったのは、医療情報のあり方について研究を行っている東京大学医療政策人材養成講座内のグループから、「患者さんはどういった情報を欲しているのか?」という質問をイデアフォー世話人の中澤幾子さんが受けられたことがきっかけです。たとえば、DPCデータからわかる情報のうち、患者さんにとって必要なものは何か? そこで、まずはDPCについて知り、DPCデータから何が見えるのかを学んだ上で、複数人で意見を出し合おうということで、今回、渡辺と相馬の二人が講師役を勤めさせていただき、勉強会を開催するに至ったというわけです。
勉強会といっても意見交換をかねてということで、話の途中でも疑問があればその都度質問していただくという形式で進めたところ、皆さん、かなり積極的に質問・意見をおっしゃってくれました。
「DPCデータにかなりの情報が含まれていることはわかりました。でも、厚労省が公表しているのはある程度整理された一部の情報ですよね。生データには誰がアクセスできるのですか? 私たち一般の人がデータを基に比較したいと思っても無理ですよね?」
「(術前術後日数に関する病院間のベンチマーク比較に対して)手術前の入院が長いのは言語道断。手術前日に入院すれば十分じゃない?」
「(入院期間によって点数が違うことに対し)地域によってはなかなか外来では通院できない場合もありますよね。そういった事情は加味されていないんですか?」
などなど、鋭い質問が飛び交いました。
また、後発品についても率直な意見をうかがえました。
「同じ効果であれば安いものを使うべき。患者がそう思わないのであれば、教育すべき」
「テレビで宣伝しているけれど、イメージ路線に過ぎない。病院も積極的に使用を勧めるわけでもないし。本当に信頼できるのであれば、信頼できることを示す根拠を伝えるべきなのに、『ジェネリックを使いましょう』というメッセージだけで肝心な情報はない。以前にジェネリックメーカーのパンフレットを取り寄せたけれど、『なぜ、信頼できるのか』という情報は載っていなかった」
さらに、勉強会に参加していた医師からは次のような話がありました。
「ジェネリックメーカーといってもいろいろあって、大手数社であれば情報提供も、信頼性に関する研究もちゃんと行っているので大丈夫と聞くけれど…。成分は同じといっても、体内での溶け方や効果に関する情報はあいまいなので、医師もそういった情報を欲しているんです」
休日にもかかわらず、参加してくださった方々は本当に皆さん真剣で、レクチャーが始まったとたん、ペンを手に取り、メモを取られていました。「あぁ」という納得の声が上がることもあれば、時には「お~」「えぇ?」という驚きの声も。
患者さん方が医療についてすごく勉強されていること、それだけに本当の情報を知りたいと願っていることを改めて感じました。
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広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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