GHCブログ

2008年12月18日

「医療基本法について考える集い」に参加

東京大学医療政策人材養成講座(HSP)第4期生「医療基本法プロジェクトチーム」が主催する「医療基本法を考える集い」に参加してきました。12日(金)、13日(土)の2回に分けて同じプログラムが行われ、私が参加したのは土曜日です。 「HSPって何?」という話は、コチラの公式HPを見ていただくとして、実はGHC渡辺も今、HSP第5期生として参加しております。

さて、皆さんは「基本法」について意識されたことがありますか? 正直なところ、私はこの会に参加するまでありませんでした。 環境基本法、教育基本法、食品安全基本法、中小企業基本法…など、日本では現在35の基本法が存在するそうです。そして、基本法とは、政策の基本理念や基本方針を定める法律であって、同一分野の他の個別法に対して優越性をもつものです。つまり、基本法で定められた方針を実現するために、必要な個別法が制定されたり、改定されたりするわけです。 そして、医療分野では、医療法をはじめさまざまな法律がある一方で、そのすべてを束ねる「基本法」がありません。

医師不足、産科をはじめとした救急車のたらいまわし、医療の質、財源問題、医療事故の真相究明、終末期医療のあり方、国民教育などなど、問題が山積しているなかで、これらの問題を考える“核”となる基本法が必要! というのが、「医療基本法プロジェクトチーム」が主張されていることです。 また、基本法が必要な理由には、もう一つあります。それは医療財言論の前提となるということ。今、増加する医療費をどうするのか、誰が負担するのか、国民はどこまでなら負担するのかといった議論がありますが、「どのような医療が将来的に保障されているのか?」「どのような仕組みにより実現されるのか?」といったことは不明なままです。しかし、これらが不明なままでは話し合いは成り立ちません。医療基本法ができることによって、こうしたことをクリアにしたうえで、財政論について議論しようというわけです。

小西さん

この日は、こうした基本法の必要性のほか、基本法によって何が変わるのか? 諸外国ではどうなっているのか? そして現在の医療政策の進め方の問題点は何か? などについて、「医療基本法プロジェクトチーム」のメンバーの一人、小西洋之さん(政策立案者側)より説明がありました。

また、ゲストスピーカーとして登場した埴岡健一さん(日本医療政策機構理事、HSP特任准教授)から医療基本法に関するメディア記事の紹介があった後、参加者を交えたフリーディスカッションが行われました。

埴岡さん

参加者は概ね、基本法の成立に関しては肯定的でしたが、そのあり方や内容に関してさまざまな意見が出ました。その一部を紹介します。

「医療基本法をつくることには賛成。ただ、他の分野の基本法ではどのような効果が出ているのかを、事前に明らかにすべき」 「徹底した情報公開と評価によって変えていくしかないのではないか。基本法で本当に解決できるのであればいいが…」 「基本法には賛成です。ただ、親法として強い影響を持たせようとすると、個別法との整合性が難しいのではないか。教育基本法のように誰もが使いやすいシンプルな法律がよいと思う」

基本法に盛り込むべき内容、基本法を制定するために必要なことなど、まだまだ考えるべき問題はありますが、今回の目的は、「医療基本法があったら、日本はもっとよくなるんじゃないか」という気持ちを共有することでした。 私は、今回参加させていただいて初めて、「基本法」の存在意義について考えました。そして話を聞くなかで、「なるほど」と納得しましたが、みなさんはいかがでしょうか?

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広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。