GHCブログ

2009年03月09日

社会保険病院全体としてのスケールメリットに意味がある――札幌社会保険総合病院・秦院長

札幌社会保険総合病院●院長 秦温信先生


今回のインタビューは札幌社会保険総合病院長の秦温信先生です。医師として臨床業務を行い、病院長として経営業務をこなし、さらに全社連の班会議では班長として共同研究を率い、班研究の書籍を毎年発刊されるなど、多忙な生活ながら、いつも笑顔が素敵な先生です。そんな秦先生に、共同研究について、そして社会保険病院としての今後のあり方についてお話をうかがいました。

――秦先生は、全国社会保険協会連合会(全社連)の班会議で班長を務め、共同研究を行っていらっしゃいますよね。GHCも分析部分をお手伝いさせていただいております。

共同研究が決まったのが平成15年で、実際に始まったのは翌年の平成16年。その前の平成14年にアキさんが当院にきてベンチマークについて講演をしてくれたんですよね。そこでベンチマーク分析という手法を知りました。同時に、全社連では平成14年から定点観測システムの運用をスタートしたので、このシステムを使わない手はないぞ、と。また、平成16年度の対象病院62病院のうち、25病院が全社連関連の病院でした。非常に大きな割合を占めていたわけです。 こうした環境がそろって、ベンチマーク分析という手法と定点観測システムを利用してDPCの評価を行おうと、共同研究を始めました。 この共同研究は平成20年度でもう5回目を迎えました。非常に大きな成果だと思っています。研究結果はこれまでに2冊の本にまとめられていて、現在、3冊目を準備しているところです。

――先生がリーダー役を務められているのは、もともと経営や分析にご関心が高かったからなのですか。

好奇心が強いというか、わからないことは明らかにしないと気がすまないタイプで、やっているうちに深みにはまっていったんですよね。性格的なものが大きいですね。

――社会保険病院・厚生年金病院については、今、さまざまな議論が行われています。

法改正が行われない限り、来年10月には年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)に移管することになっていますので、成り行きを見守るしかないというのが正直なところです。ただ、社会保険病院というグループ全体で見ると、医療の担い手としてのシェアは大きいですし、地域の医療に深くかかわっている病院も多い。また、職種ごとに研修プログラムを設けたり、研修センターを持っているなど、人材育成・研修システムも充実しています。グループとしてのスケールメリットが非常に大きいなかで、これを壊すことが社会にとってプラスになるのか…。私たちは社会に貢献しているという意識で一致しているものの、国や厚生労働省がどう考えるか、ですね。 ただ、根拠のない風評はやめていただきたいですね。先日も新聞で、一人の議員の発言が、さも公式な見解のように報道されましたが、正しい報道をしてほしいと切に願っています。今いる職員たちはよくわかっているので影響はないのですが、新たな職員を採用しようというときにやはり噂に左右されてしまうことがあるのです。

――それは病院にとって非常に歯がゆい問題ですね。

厚別区という12万人強の人口を持つ地区で唯一の総合病院であり、小児の入院医療に至っては40万人ほどのエリアをカバーしているのが当院です。それだけの人々の医療を支えているというプライドと高いモチベーションを持って職員は働いてくれています。 医療安全などのさまざまな会合を地域に開放して行ったり、一般市民向けの講演会を行ったりもしています。また、「DPCとクリティカルパス―EVEのデータを参考にして―」と題して、EVEを使った勉強会も隔月で開催しています。より公的な、地域を意識した病院として、「うちしかない」という責任を大事にしていきたいと思っています。  今年の9月12・13日には日本禁煙学会の学術総会が札幌であり、大会長を私が務めることになっています。そのときにはなんと主会場のシェラトン札幌が全館禁煙にしてくれるほか、区の開基20周年も兼ねて駅から病院までの周辺スペースが禁煙になる予定です。結構、すごいでしょう?

――本当にすごいですね!

実は、病院敷地内全面禁煙を全国で最初に実施したのは当院なんですよ。2000年元旦からです。禁煙治療にも力を入れていて、禁煙外来は私も含めて、全医師が担当しています。

――え? 全医師ですか?

そうなんです。どんな疾患でも禁煙ってかかわってくるでしょう。そのときにコロコロ担当医が変わるよりも、知っている先生のほうが患者さんとしてはいいじゃないですか。だから、全員が担当することにしています。

――なるほど、ユニークですね。患者さんとしては安心ですよね。

雪です!

広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。