GHCブログ

2009年05月28日

データ提出だけではなく、分析、そして現場へのフィードバック――土谷総合病院

特定医療法人あかね会土谷総合病院 診療情報管理室 兼 本部事務局情報管理部課長 鈴木隆宏 氏 診療部 診療情報管理室 主任 畠堀瑞佳 氏



広島県内に、病院、老健、クリニック、訪問看護ステーション、デイサービスセンターなど、32の医療福祉施設を持つ、特定医療法人あかね会。その中核施設が土谷総合病院です。 今回は、GHCが講師役を務めさせていただいた「DPCデータマネジャー育成講座」にご参加されていた土谷総合病院の畠堀瑞佳・診療情報管理室主任と、あかね会本部事務局情報管理部課長の鈴木隆宏氏にインタビューさせていただきました。

――今回は、「DPCデータマネジャー育成講座」にご参加くださり、ありがとうございました。ちなみに、どのようなきっかけでご参加くださったのでしょうか?

畠堀 当院ではDPCコーディングの承認は診療情報管理室が担当しています。そして次第に、DPCデータを用いた分析も必要になってきました。そんなときに、診療情報管理士間のメーリングリストで、この講座を知ったんです。

――診療情報管理士さんって横のつながりが強いですよね? ちなみにDPCにはいつから導入されたのでしょうか?

畠堀 昨年の4月です。ただ、最初のうちはDPCデータを提出することでいっぱいでした。半年から1年弱経って、ようやく出来高の比較などを始めました。

鈴木 DPC導入前にまず考えたことは、いかに現場の負担を減らすかということ。そのため、すべてマスターを作成して、これまでの病名から自動的にDPCコードが選択できるようなシステムを整えました。そして1年経って、ようやくデータを提出するだけではなく、分析を行って、いかに現場にフィードバックするかという段階にきています。当院は、民間病院ですし、やはり病院の収支が赤字という状態からは脱却しなければなりません。厚生労働省もDPCデータをオープンにしていますし、人件費等のデータとリンクさせるなど、もっと活用していかなければなりませんね。 医師は、ただ言葉で声かけするだけではなかなか動いてくれません。そういう意味でもDPCデータを使った分析は非常に重要ですよね。理解してもらえれば早いですから。

――DPCデータはどのように活用し始めているのですか?

畠堀 前回のDPCデータマネジャー育成講座で、冨吉さん(講座の講師役・GHC冨吉)より、薬剤管理指導料の算定状況に関する分析を紹介していただいたので、病院に戻って早速、当院の状況を調べてみました。そして、院内のDPC委員会から医局会で報告しました。薬剤管理指導料は持参薬であっても、適切な指導を行った場合には算定できますが、「持参薬の場合は算定できない」という誤解があることがわかり、そういった誤解を正すことで、今後、改善できるかなと思っています。

――最後に、今後に向けての課題をお聞かせください。

鈴木 小児科など、DPCではどうしてもマイナスになってしまいがちな部分もあります。今後こういった部分は改善して欲しいです。我々としては、地域で必要とされている医療を提供できるような環境を作っていきたいです。そのためにも、医事職員やクラークも含めて、DPCについてもっと理解度を上げていかなければならないと感じています。

畠堀 DPCにおいて、診療情報管理室、医事課、クラークの間で、それぞれがどういった役割を担当するのか、再分担する必要があるかなと感じています。DPCによる診療を皆が理解して、皆で注意できるような体制が整えば非常に強いですし、自院の状況や環境を分析して経営層に積極的に提案していきたいと思っています。

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広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。