2009年06月14日
本当に必要な情報を患者さんに――日本医療マネジメント学会で発表
木曜夜から長崎入りしています。長崎って、きれいな街ですよね。余談ですが、先日、飲み屋さんのカウンター席で隣になって話が弾んだおじさまは、「あまりに気に入って、定年してから長崎にマンションを借りているんだ」とおっしゃっていました。ちなみに、東京生まれ東京育ちだそうです。
さて、長崎訪問の目的は、12日(金)、13(土)の2日間に渡って開かれた第11回日本医療マネジメント学会。学会長の米倉正大先生(国立病院機構長崎医療センター院長)の開会の挨拶で幕を開けました。
第1日目には、GHC社長の渡辺が、一般演題として登場。先日、ブログでもご紹介したHSP(東京大学医療政策人材養成講座)で行なったがんの臨床指標の研究について発表させていただきました。医療の質に関する情報をいかに、患者さん、一般の方に届けるか、という研究です。内容に関しては
11日のブログをご覧ください。
一般演題の場合、与えられた時間は5分。かなりコンパクトな説明になりましたが、会場から質問も上がり、いい反応だったのではないでしょうか。「おもしろい取り組みだと思います」という感想とともにいただいた質問は、「評価を行うことで画一的な医療しかできない病院を増やしてしまうのではないか?」というもの。これは、アメリカのHMOが医療の質を評価し、病院への報酬と紐づけたことで起こったことと同様の現象が起こるのではないかと危惧したものでした。
これに対し、渡辺は「HMOの場合は、新しいエビデンスが発表されても、支払い制度に反映されるまでにはタイムラグがあります。私たちの提言は質指標(QI)や臨床指標(CI)を経済的インセンティブに結びつけるものではなく、一般市民に対して医療情報の公開することによって医療機関が医療の質を高めるというモデルです。評価は、毎年新たに発表されるエビデンスに対応できるようなものを考えています」と説明させていただきました。
実際、同日の李啓充先生(コラムニスト、前ハーバード大学医学部助教授)のご講演でも、医療の質に関する評価を診療報酬に連動させる試みであるP4Pについて、「現時点で、①質が劇的に改善されるという証拠はない、②医療費が抑制される証拠もない(Health Affairs 28 517-525, 2009)」という発表があったばかりで、QIやCIを医療機関別の経済的インセンティブに結びつける是非を考えさせられたばかりでした。
ところで、一般演題の発表はテーマごとに会場が分かれています。渡辺の発表は「DPC」のセッションでした。正直なところ、テーマによっては人が少なかったりもするのですが、DPCの会場は本当に人が溢れていました。左右の壁に立ち見の方がずらり。関心の高さがうかがえました。
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