GHCブログ

2009年06月25日

正確なデータ提出、効率化、複雑性、カバー率の4項目は「次期改定での導入が妥当」

24日(水)、中医協・診療報酬基本問題小委員会の会合が開かれ、DPCの新たな機能評価係数について議論が行われました。先週金曜日に開催されたDPC評価分科会の会合で、今までに挙がった評価指標について「○」「△」「×」に分別されたことはこのブログでも報告しました。今回の基本問題小委員会では、19日の議論の内容と、その後、西岡分科会長と厚生労働省事務局が追加で検討した結果も合わせて、西岡分科会長から報告が行われました。 提示された項目は次のとおりです(「○」「△」として残った項目)。

======================================================== DPC評価分科会における新たな「機能評価係数」の絞込みについて(案)

Ⅰ. 次期改定での導入が妥当と考えられた項目

1.DPC病院として正確なデータを提出していることの評価  ①部位不明・詳細不明コード/全DPC対象患者  ②様式1の非必須項目の入力患者数/非必須項目の対象となる患者数  ③DPC調査において、データ提出の遅滞があった回数 2.効率化に対する評価(効率性指数、アウトカム評価と合わせた評価等)   ①全DPC対象病院の平均在院日数/当該医療機関の患者構成が、全DPC対象病院と同じと仮定した場合の平均在院日数(再入院調査の結果と合わせて評価) 3.複雑性指標による評価  ①当該医療機関の各診断群分類毎の在院日数が、全DPC対象病院と同じと仮定した場合の平均在院日数/全病院の平均在院日数 4.診断群分類のカバー率による評価  ①当該医療機関で(一定数以上の)出現した診断群分類の数/全診断群分類の数

Ⅱ. 次期改定での導入を検討するため、更にデータ分析や追加調査を実施すべきとされた項目

1.救急・小児救急医療の実施状況及び救急における精神科医療への対応状況による評価  ①‐1 救急車で搬送され入院した患者数  ①‐2 救急車で搬送され入院した患者数/全DPC対象患者  ①-3 救急車で搬送され入院した患者数/当該医療機関の所属する2次医療圏の人口  ②-1 入院初日に初診料の時間外・深夜・休日加算が算定されて入院した患者数  ②-2 入院初日に初診料の時間外・深夜・休日加算が算定されて入院した患者数/全DPC対象患者  ②-3 入院初日に初診料の時間外・深夜・休日加算が算定されて入院した患者数/当該医療機関の所属する2次医療圏の人口  ③-1 緊急入院の小児の患者数  ③-2 緊急入院の小児の患者数/全DPC対象患者  ④-1 救急車で搬送され入院した患者で、入院精神療法又は救命救急入院料において精神保健指定医が診療した場合の加算が算定されている患者数/全DPC対象患者  ④-2 入院初日に初診料の時間外・深夜・休日加算が算定されて入院した患者で、入院精神療法又は救命救急入院料において精神保健指定医が診療した場合の加算が算定されている患者数/全DPC対象患者  ⑤複数の診療科における24時間対応体制 2.患者の年齢構成による評価  ①年齢構成指数 3.診療ガイドラインを考慮した診療体制確保の評価  ①診療ガイドラインを明示して、患者への治療方針の説明を行っているか否か  ②診療ガイドラインから逸れた診療を行う場合、十分に検討をするための委員会等が設置されているか否か  ③患者及び職員が、診療ガイドラインを閲覧できる体制・設備が整備されているか否か 4.医療計画で定める事業等について、地域での実施状況による評価  ①3疾病(4疾病から糖尿病を除く)による入院患者数  ②3疾病(〃)による入院患者数/全DPC対象患者  ③3疾病(〃)による入院患者数/当該医療機関の所属する2次医療圏の人口 5.医師、看護師、薬剤師等の人員配置(チーム医療)による評価  ①病院に勤務している各職種の職員数/全DPC対象患者  ②病棟に勤務している各職種の職員数/全DPC対象患者 6.医療の質に係るデータを公開していることの評価  ①特定のデータ(医療の質の評価等につながる項目)の公表を行っているか否か。 ========================================================

このうち、「Ⅰ」に挙げられた4項目(正確なデータ提出、効率化、複雑性、カバー率)に関しては、「次期改定での導入が妥当と考えられる」(遠藤久夫委員長・学習院大教授)として、今後、基本問題小委員会で議論を引継ぐことになりました。一方、残りの「Ⅱ」の項目については、「合理性があると判断されたら次期改定で導入する」としたものの、再度、DPC評価分科会に戻して検討が行われることとになりました。

この日は提示された項目に対して、フリーディスカッション形式で、さまざまな意見が交わされました。議論が集中したポイントの一つは、地域医療への貢献に関して。新たな機能評価係数を考える上で、「地域医療への貢献という視点も検討する」ことが基本的な考え方の1つとして定められています。これを受けて残った項目が、「Ⅱ-4」の「3疾病(4疾病から糖尿病を除く)」に関する指標です。これに対し、委員からは「具体的な項目からは、地域医療への貢献に対する評価が見えない」「地域医療に対する貢献を考えたときに、他の疾病との差は?」「3疾病の患者さんも救急で来院するケースは少なくない。(救急医療を評価する指標は他にあるので)二重評価になるのでは?」などの指摘が相次ぎました。

また、二重評価を指摘するコメントも度々聞かれました。たとえば、特定機能病院の評価が高くなると予想される複雑性指標に関して、「特定機能病院は(入院基本料の係数が)高く設定されているので、二重評価ではないか?」と指摘。これに対して、西岡・DPC評価分科会長は、「複雑性指標は特定機能病院だけを評価する指標ではない」と説明されました。 また、効率化に対する評価に関しても、「DPC自体が入院日数を短縮するというインセンティブを与えるもので(入院期間が短いほうが点数が高いため)、大きな意味で二重評価ではないか?」という意見が挙がりました。これについては、「(二重評価になっている部分が)あるかもしれませんが、効率化を進めるにはたくさんのマンパワーを使わなければいけません。患者さんのメリットのために病院はかなりの投資をしているので評価をすべきじゃないかという考えです」(西岡分科会長)と、説明。

なお、今回絞込みが行われた項目は「DPC対象病院において評価を検討するべき項目」のみで、「急性期入院医療全体として評価をするべき項目」に関しては、診療報酬基本問題小委員会が検討を行うことになっています。

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広報部
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。