GHCブログ

2009年07月06日

術前検査センターを見学――佐久総合病院

先月、GHC渡辺、本橋、近藤の3人が、JA長野厚生連・佐久総合病院の術前検査センターを見学させていただきました。日帰り手術センターに併設する形で、2007年4月にオープンしたものです。

オープンに至った背景には、DPC導入後に進んだ術前検査の外来シフトがあります。外来医師をはじめとした外来スタッフの負担が増加したため、その負担を軽減し、外来診療をスムーズに行うために導入したというわけです。

現在、術前検査センターのスタッフは、日帰り手術センターの業務との兼務で、看護師8名。術日が決まったら、担当医師や病棟スタッフと連絡を取りながら、検査日程をコーディネートし、検査の予約やオーダリングへの入力、検査同意書の取得などの代行と、患者さんに対する手術内容や医療費に関する説明、内服薬のチェック、さらに退院後の通院の相談などを行います。手術の説明に関しては、手術適応や術式の説明は医師が行うものの、それ以外の全般的な説明に関しては術前検査センターのスタッフが担っています。ここで意外と重要なのが、医療費の説明だそうです。事前に伝えることで、安心して手術を受けていただけるからです。

術前検査センターが稼動して約2年。効果はさまざまなところに表れています。

●外来業務の負担軽減  →医師:入力や説明業務、術前の調整業務が減少  →看護師:休止薬確認、禁煙指導などの減少 ●病棟業務の負担軽減  →看護師:入院時のカルテ作成や病歴聴取、検査データ収集などの減少 ●患者満足度の向上  →1人のスタッフがていねいにかかわることができるので、患者さんにとってはより安心。治療法から医療費のことまで、術前の不安を解消。 ●病院経営への貢献  →ベッドが足りなくて困っていたが、術前検査の外来かがさらに進み、在院日数を短縮することができた(多くの病院ではDPCの導入後、病床稼働率の低下に悩んでいるので、一般のDPC病院とは事情が異なるかもしれません) さらに、術前・術後のプロセスが標準化されたことで、安全性が向上

さまざまなメリットをもたらしている術前検査センターですが、日本ではまだほとんと浸透していません。それにはいくつかの“壁”があるようです。1つは、スタッフの質です。同センターで扱う術式は多くの診療科に渡るため、スタッフはより幅広い医療知識と洞察力が求められます。 そしてもう1つは、運営のノウハウ。佐久総合病院の場合、もともと日帰り手術センターを開設していたため、看護師主体でクリティカルパスをベースに運営を行うノウハウがありました。日帰り手術では、事前の検査を当然、外来で実施するため、状況は似ているそうなのです。

現状、なかなか他の病院では難しい点も多いようですが、非常に画期的な取り組みであることは確かです。最近、見学に訪れる施設が急増中ということからも、関心の高さがうかがえます。

広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。