2009年09月17日
最も大事なのは連携と救急の2つ――名鉄病院・細井先生
名鉄病院●院長 細井延行 先生
今年4月よりDPC対象病院となった
名鉄病院。その3ヵ月後の7月、副院長から院長に就任されたのが細井延行先生です。「思いがけず、院長職を拝命した」とご本人はおっしゃいますが、柔らかい物腰の一方で、常日頃から抱いていらっしゃるのであろう問題意識や病院経営に対するお考えについて次々と言葉が溢れて出てくる様子を拝見し、「きっと人望に厚い、良きリーダーなのだろうな」と納得しました。
――今年の7月から院長に就任されたのですよね。副院長時代には、確か、地域連携室長も兼任されていたとのことですが。当院は地域連携があまり上手く機能していなかったので、3年前にゼロから始めようと、私が室長を担当することになりました。私は、急性期の病院にとって最も大事なのが、地域連携と救急だと考えています。その一つである地域連携において土台をつくった、というのが副院長時代に私が最も力を入れた仕事でしょうか。
――ゼロからはじめたとのことですが、まずはどのようなことから取り組みを始めたのですか。営業活動です。地域の診療所、病院をまわること。そして、取り組みを進めるにあたって気づいたのが、「患者さんを紹介してほしい」というわれわれのニーズと、そのかわりちゃんと情報をフィードバックしますよという紹介元への心配りのバランスが大事ということでした。ともすれば「紹介してほしい」という要望ばかりが先行して、フィードバックがおろそかになりがちです。地域連携は、本来、看護師やMSWが主体となって行うべきではありますが、紹介元に情報をフィードバックするという点では医師への働きかけが重要。情報提供が適切に行われれば、紹介元から信頼が得られ、結果的に患者さんを紹介してくださるようになります。
もう一つ、患者サービスにも力を入れています。その一環として、スタッフに日本医療コンシェルジュ研究所の資格も取得させました。患者さんにとって一番わかりやすいのは、やはりサービス。いいサービスを受ければ、その患者さんは紹介元の先生に「良かった」と言ってくれます。そしたら、その先生は「また紹介しよう」と思ってくださるでしょう?
ですから、医療的な情報をフィードバックすることと、サービスの質を上げることの2点に取り組んできました。
――急性期の医療機関にとっては連携と救急が最も大事とのお話がありましたが、救急に関してはどのような取り組みをされているのでしょうか?こっちのほうが難しい問題ですね。当院では三次救急までは受け入れられませんが、二次救急に関しても「どこまで受け入れるか?」というラインが医師によって異なっています。二次救急は断らずに受け入れるという意識を皆に浸透させること、理解してもらうことが必要です。ただ、確かに難しいところで、夜間の当直の場合、自分の専門分野+αの診療を行わなければならないので、「どこまで診るか?」は難しい問題なのですよね。また、正直なところ、大学からの派遣できていて数年後にはまた別に移る予定の医師と、今後もずっと当院で働く意思のある医師では、「救急の患者さんをどこまで受け入れるか」という意識がどうしても違ってきます。
意識をどうやって高めるかということに関しては、まさに今後、GHCさんに教えてもらいたい部分ですね。
――はい。承知いたしました。そもそも、GHCさんにコンサルティングを依頼するきっかけになったのが、アキさんに当院で講演していただくよりも前に、DPCデータを用いてベンチマーク分析をしてもらったことです。その結果を見て、おもしろいなと率直に思いました。ある治療の症例数が非常に少なく、まるで当院にはその症例を扱う診療科がないかのような結果が出たのです。それを見て、内部にいてもわからなかったことが、ベンチマーク分析を行うことでわかるのか、と興味を持ちました。当院は、周辺に病院が多いので、周りの病院の動きや、そのなかでの当院の特徴を、分析を通じて見つけながら、病院運営をどう展開していくかを考えていきたいと思っています。
分析を行うだけではなく、結果をいかに現場につなげていくか、実践に落としていくかということがうまくいって始めて価値があるわけですが、まずは分析を行って知る、把握することからに注力していければと思っています。よろしくお願いします。
――こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします!
広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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