2009年11月02日
広報で院内の活動が変わる!
気づけばもう11月なのですね。ついこの間まで夏だったと思いきや…。
さて、先日、塚越とともに、
労働者健康福祉機構の経営企画室にお邪魔してきました。この日は、
新日鐵八幡記念病院の経営企画部で、「
HIS病院広報アドバイザー」でもある秋吉裕美さんが、病院広報に関してレクチャーをされるとのことで、私も勉強をさせていただきました。
秋吉さんのお話は、「病院は思っているほど皆さんに知られていないんです」という言葉から始まりました。だからこそ、広報が大切で、なおかつ、広報は「院内の活動を変えていくくらいの力」を持ちうる、と。そして、口コミが広がって患者さんが集まるケースが多いだけに、病院の広報マンは「実は職員一人ひとりなんです」と説明されました。
八幡記念病院では、広報委員会の下に「年報編集部会」「月報編集部会」「広報誌編集部会」「地域連携部会」「ホームページ管理部会」「病院案内パンフレット」という6つの組織があります。関わっているメンバーは、皆、兼任。これらすべてに携わっている秋吉さんも、経理業務、DPC担当との兼任です。しかも仕事の内訳は、DPC:広報:経理=6:4:1くらいとのこと。
さまざまな広報ツールのなかでも、同院で最も力をいれていらっしゃるのが、季刊で発行している院外広報誌「
こんにちは せいてつ病院です」。柔らかいイラストの表紙で、「子どもからお年寄りまで読みたくなる広報誌がテーマ」をめざしているだけあって、親しみやすく、手に取りたくなる広報誌です。
表紙だけではなく、中面も笑顔の写真が多かったりと、一つひとつの要素にテーマが反映されていることが伝わるのですが、なかでも「すごいな」と思ったのは、企画の立て方です。「広報誌にも病院の理念が反映されていなければ意味がない」と、理念のなかの言葉をもとに、企画のコンセプトを考えているそうです。たとえば、「こんにちは探検隊」という近隣の医院を紹介するコーナーを設けているのは、「地域との連携を大切に」という基本方針を反映したもの。また、「安心で最適な医療の実現」という理念を伝えるために、「医療をささえる看護のちから」というコーナーを設けています。
写真にしろ、記事にしろ、院内の医師をはじめとしたスタッフの協力なくしては、いい誌面は作れません。とはいっても、「皆、忙しいからと協力してくれない」「広報誌は広報担当者がつくればいい」など、なかなか協力を得られない病院も多いのではないでしょうか。ところが、「こんにちは探検隊」の誌面を見ると、いろいろな部署のスタッフがリラックスした笑顔の写真で登場し、楽しく取材をやっている様子が伝わります。
ただ、新日鐵八幡病院でも、10年前には今とはまったく異なる反応だったそうです。医師の記事の執筆をお願いするのは恐縮するし、取材に行けば皆忙しそうで申し訳ない…。変わった理由を聞けば、「続けてきたから」と一言。
「広報誌を持って診察室に現れる患者さんがいたり、『先生、載っていたね』と患者さんに言われたりという一つひとつの小さなエピソードが積み重なって、みんなの協力度合いが変わってきました。何より、継続してきたということだと思います。今では、『載りたい』といってもらえるまでになりました」(秋吉さん)
これまでの病院経営では広報を意識することはあまりなかったかもしれませんが、患者から選ばれる時代になりつつある今、確実に重要性は増しています。経理スタッフとして入職し、先輩職員が広報誌業務に関わっているのを見て、「いいな。やりたい!」と担当を変わってもらったのが広報を始めたきっかけという秋吉さん。「こういうことが好きな人は、一人くらいはいるはずです。そういう人を見つけて、責任とやる気、モチベーションを与えることが大切ではないでしょうか」(秋吉さん)。
広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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