GHCブログ

2010年02月02日

地域全体で目に見えて改善――東海地区自治体病院コンソーシアム

愛知、岐阜、三重という東海地区3県の自治体病院17施設に加え、沖縄県から見学に来てくださった方も含め総勢74人もの方が小牧市民病院の講堂に集まり、「東海地区自治体病院コンソーシアム(ToCoM:Tokai Consortium for Municipal hospitals)」の第2回会合が開かれました。 ToCoMとは、DPCを施行している東海地区の自治体病院が集まり、施設名をオープンにした上でベンチマーク分析を行い、地域全体の医療の質・経営の質をあげていこう、という活動です。

会場である小牧市民病院の末永院長が飛び入りでゲストスピーチ。「経営の効率化への影響はもちろんですが、医療の質向上への影響も大きいです」と病院間でのベンチマーク分析の有効性を伝えました。そして、ToCoMが開幕。代表世話人の松阪市民病院・世古口先生から「自治体病院同士は競合ではありません。ともに切磋琢磨し、地域の医療を底上げしていきましょう」と、力強いメッセージがありました。

世古口先生

続いて、世話人のお一人、小牧市民病院の内藤先生がToCoMの今後のあり方について説明。

以下、当日のプログラムをざっとご紹介します。

○小牧市民病院医事課 西村氏 「入院時医学管理加算算定に至るまで」

 入院時医学管理加算算定取得を目標に、「総退院患者における治療または診療情報提供料添付加算算定の割合4割」をめざした取り組みについて説明。  全退院患者をチェックし、漏れや誤りを訂正した上で、医師を対象にアンケート調査とヒアリングを行ったところ、「紹介可能な病院の情報が乏しい」「事務によるサポートが必要」「専門性の高い患者は紹介困難」などの問題点が明らかになり、開業医情報をまとめた冊子を作成し、事務がサポートする仕組みを整えたところ、診療情報提供料添付加算の算定率が右肩上がりに推移しているそうです。

○岡崎市民病院医事課 大山恭良氏「DPCへの取り組み」    2009年4月からDPC対象病院となった岡崎市民病院では、同年4月に「診療報酬対策委員会」を設置し、経腸栄養剤の選択や後発医薬品の採用拡大、退院時リハビリテーション指導料の算定などに注力。DPCの包括項目のなかで、出来高で算定できるものをできるだけ増やしていこうと、取り組みを進めてきたとのことでした。

また、GHCからは「Dファイルチェック」「疾病別病院間ベンチマーク分析~ラパコレ編Ⅱ~」「2010年度診療報酬改定のポイント」の3つについてプレゼンさせていただきました。

GHC芦田

これらのプレゼンでは、GHCが所有する全国の病院のDPCデータとToCoM参加病院のDPCデータを用いて分析を行った結果を紹介。全国的な傾向とToCoM参加病院群との比較、またToCoM参加の各病院間での比較などを説明させていただきました。 在院日数や投下している医療資源、緊急・予定手術割合など、いずれの項目でも病院間で違いが見られ、会合後、参加者からは「施設名を明らかにした上での比較なので、取り入れるべき点がわかりやすい」「同じ地区の病院なので、ある程度条件がわかるので、比較結果をイメージしやすい」といったコメントをいただきました。

そして13時から17時までの全プログラムが終了した後は、懇親会会場に移行。 ここでは、参加者同士、話が盛り上がり、「うちは今、こうなんですよ~」「○○病院さんではどうしていますか?」とざっくばらんな情報交換が行われていました。

代表世話人のお一人、世古口先生は、「前回の報告を受けて、在院日数や薬剤の投与などが目に見えて改善されていて、1回目よりもさらにレベルアップしたね。17時までの勉強会でデータを基にした報告を行い、懇親会で本音を語る…この一連の会がすごく意味がある」とおっしゃっていました。

お互いの病院が意識しあいながら、改善を行っていることが顕著にデータに現れてきているToCoM。今後も楽しみです!


広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。