2010年03月03日
時間外勤務、病床利用率を公開 立ち位置を客観的に知る――豊橋市民病院院長・岡村先生
豊橋市民病院院長・岡村正造先生
DPCを施行している東海地区の自治体病院が集まり、施設名をオープンにした上でベンチマーク分析を行い、地域全体の医療の質・経営の質をあげていこうという「
ToCoM(東海地区自治体病院コンソーシアム:Tokai Consortium for Municipal hospitals)」の会合後、ご参加病院の一つ、豊橋市民病院院長の岡村正造先生にインタビューを行いました。
テーマは、「情報をオープンにすること」。院内、病院間、そして患者さんという3つの観点から、情報共有、情報公開に関する取り組みについてうかがいました。
――豊橋市民病院では昨年末、事務職も含めて病院に貢献した部署、スタッフの表彰を行ったそうですね。職員のモチベーションを上げることをやはり大切にされているのでしょうか。そうですね。そして、職員のモチベーションは、健全経営なくしては上がらないと考えています。
そこで重視している点の一つが、病床の管理です。病床稼働率ですね。
以前は、各病棟の利用率に関する情報は院長のみに上がってくる仕組みになっていました。しかし、それでは利用率を上げようという意識にはなりにくい。やはり、情報をオープンにすることが重要です。
昨年の夏より院内LAN上で、各病棟の稼働率に関する情報を共有できるようにしました。その際、ただ数値を掲載するだけではなく、75%以下には涙マークをつけ、逆に95%以上には花丸マークをつけました。現状、半分以上のスタッフが定期的に確認してくれているようです。
――情報をオープンにすることで行動を促すということですね。まずは自分で自分の立ち位置を知ることが大事です。その際、客観的に評価すること。皆、お互いに「自分が一番忙しい」と感じているんです。
当院では、以前は、各部長がそれぞれの部下の時間外勤務の状況を把握しているだけでしたが、全診療科の部長クラスの医師の時間外勤務に関する情報をオープンにしました。そうすると、なかには、飛びぬけて時間外勤務が多い人もいました。話を聞いてみると、特段の事情はないわけです。そして翌月には、変わっていました。
――時間外勤務の情報をオープンにするというのはおもしろいですね。ところで、「ToCoM」の活動も、情報を共有して改善に結びつけるという考え方の根本は同じですね。そうですね。病院名をオープンにしてベンチマーク分析を行ったことが非常によかったと思っています。病院名が出るのと出ないのではまったく違います。同じ地域の自治体病院が集まってベンチマーク分析を行っているわけですから、互いの条件や環境もわかるわけです。病院名がわかることで、結果を見ながら、「あの病院がここまでできているのであれば、うちでもできるはすだ」「あの病院とは環境が違うから仕方ない」といった判断ができます。
まさに自院の立ち位置を客観的に知る機会になっています。
――最後に、一般の方、患者さんに向けても情報公開は重要ですよね。豊橋市民病院では、患者数や手術件数などの統計情報や病院改革プランをホームページ上で広く公開していらっしゃいます(http://www.municipal-hospital.toyohashi.aichi.jp/syoukai/hyouka.html)。情報開示という点では、「総合患者支援センター」の4月開設に向けて準備を進めています。最近の患者さんは非常に勉強熱心ですし、インターネットの普及によって入手できる情報は増えています。当院の患者さんもさまざまな情報を調べて、いらっしゃいます。
総合患者支援センターでは、情報提供と医療相談、病診連携の3つの機能を考えています。
現在、院内には医療福祉相談、がん相談、女性相談を行う「医療相談室」と、紹介患者の受け入れと逆紹介を行う「病診連携室」があります。これら2つの機能を統合し、さらに患者さんへの情報提供という機能も付加したのが総合患者支援センターです。
現在の2室をあわせた面積の2倍程度のスペースを確保し、メイン通路はガラス張りという、広々とオープンな空間になる予定です。
医療相談に関しては、MSWと事務職が対応し、6つの相談室を設けます。また、情報提供コーナーにはパソコン2台とさまざまなパンフレットを置き、医療や福祉制度に関する情報提供を行い、さらなる患者サービス向上を図ります。
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広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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