2010年04月09日
社会医療法人になって、自分たちの意識が変わった――東大和病院院長・大高先生
社会医療法人財団大和会東大和病院院長・大高弘稔先生
2009年4月、東京都で初の社会医療法人の認定を取得された社会医療法人財団大和会。社会医療法人という“公的な病院”になったことで、病院を取り巻く環境はどのように変わったのか、どのような影響があるのか、お話をうかがいました。
――2009年4月に社会医療法人の認定を取得されました。東京都では初でしたが、その後、病院を取り巻く環境に変化はありますか。公的な病院になったことで、より“信頼される”病院になったことが一番ですね。
社会医療法人には、社会医療法人には、一般の病院では行いがたいけれど、地域での公益性の高いニーズの医療を手がける役割があります。当法人は、2001年ごろから法人の方向性として、救急医療や災害医療などをより強化してきましたし、東大和病院と武蔵村山病院を中心に地域完結型の医療を行ってきたことは地域行政の方向づけとも一致しています。
特に救急に関しては、東大和病院の年間救急搬送台数は5,000~6,000台と、社会医療法人の基準を大幅にクリアしています。その背景には、2001年の改築に伴って救急センターを拡張し、特定集中治療室や日帰り手術室を配置したこと、また、臨床研修指定病院や開放型病院などの指定を取得したことがあります。さらに、医師数が増えたことも大きいですね。
――患者さんの認識も変わりましたか。正直なところ、一般の方への浸透はまだまだ…。「社会医療法人の病院だから」という理由で来院される方はなかなかいらっしゃらないですね。
ただ、社会医療法人になったことで、まず、働いている自分たちの認識が変わりますし、行政からの認識も変わったと感じています。以前よりも病院の要望に真摯に対応してくれるようになりました。
――救急医療については、“たらい回し”という言葉が象徴するように、社会問題化しています。そうですね。ただ、一般的に言われている“たらい回し”の問題とは別に、受け入れ先が見つからないケースでは、医療費の問題、高齢者の独居、ホームレス、精神疾患など、社会的な問題を抱えている場合も多いんですよね…。
東京都では、「東京ルール※」があります。これは、①救急患者の迅速な受け入れ、②トリアージの実施、③都民の理解と参画――という3つのルールの下に、救急医療を守ろうというもの。一つ目のルールにおいて、医療圏ごとに「地域救急医療センター」を整備し、一定時間、搬送先が決定しない場合に、その病院が救急隊と並行して受け入れ先を見つけることになっています。当院が位置する北多摩西部医療圏では7つの病院が指定され、順番に担当しており、東大和病院、武蔵村山病院も地域救急医療センターに指定されています。
※東京ルールとは?
ルールⅠ:救急患者の迅速な受け入れ
1)医療圏ごとに「地域救急医療センター」を整備し、搬送先が決定しない場合に受入先の調整を行う
2)地域救急医療センターが行う地域内の調整では調整が困難な場合、東京消防庁に配置した「救急患者受入コーディネーター」が都内全域で調整を行う
ルールⅡ:トリアージの実施
救急医療の要否や診療の順番を判断するトリアージを、救急のさまざまな場面で実施
ルールⅢ:都民の理解と参画
救急車、医療機関、医師や看護師といった医療スタッフは限られた資源であることを都民に理解してもらい、適切な利用を心がけてもらう
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kyuukyuu/tokyorule/index.html
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