2010年04月24日
シリーズ:アメリカの医療は悪いのか? 第1回 集約型の米国と、医師が分散している日本
先月23日、アメリカで、全国民に原則として医療保険への加入を義務付ける医療保険制度改革法案が上下院で可決され、オバマ大統領が署名し、同法が成立しました。
個人の選択の自由を尊び、大きな政府を否定する国民性のアメリカにおいて、国民皆保険制度に近い、この法案が成立したことは、非常に大きな変革です。
みなさんは、アメリカの医療に対してどのような印象をお持ちでしょうか。
2007年に公開されたマイケルムーア監督のドキュメンタリー映画「シッコ sicko」が話題になったこともあり、悪いイメージを持っている人も多いのではないかと思います。
「シッコ」の日本でのキャッチコピーは、「テロより怖い、医療問題」でした。
確かに、アメリカの医療は解決すべき問題も多く抱えています。ただ一方で、日本が学ぶべき部分も少なくないかもしれません。
国際医療経済学者で、グローバルヘルス財団理事長のアキよしかわは、スタンフォード大学医療政策部の創設者でもあり、米国の全大学病院の経営分析やカリフォルニア州ロスアンジェラス郡立病院の評価・再編・本部機能構築に携わるなど、医療分野におけるさまざまな研究、経営分析、コンサルティングに関わってきました。
こうした経験を持つよしかわからレクチャーを受けつつ、今週から週に1回、アメリカの医療に関するコラムをお届けします。
第1回目の今回は、アメリカと日本の医療事情の基本的な比較について、簡単にまとめます。なお、データはすべて、「OECD Health Data 2009」を参照しています。
まず、人口千人あたりの急性期病床数(Acute care beds)は、
○米国 2.7 床(2006年)
○日本 8.2床(2007年)
人口千人あたりの全病床数(Hospital beds)は、
○米国 3.1床(2007年)
○日本 13.9床(2007年)
一方で、人口千人あたりの医師数は、
○米国 2.43人(2007年)
○日本 2.09人(2006年)
また、急性期病床の平均在院日数は、
○米国 5.5日(2007年)
○日本 19.0日(2007年)
こうして比べてみると、違いは一目瞭然ですね。
広大な土地でありながらも、医師が集中して、短い在院日数で密度の濃い医療を行っている米国と、医師が分散している日本。そして米国が、特別に在院日数が短いのかというと、そうではありません。実は、近年短縮傾向にあるとはいえ、在院日数は日本だけが圧倒的に長いことが分かります。
cグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン
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