2013年08月12日
入院医療等の調査・評価分科会 特定除外制度廃止における経過措置期間を検討
8月7日(水)中央社会保険医療協議会(以下中医協)の診療報酬調査専門組織入院医療等の調査・評価分科会(以下入院調査分科会)が厚生労働省(以下厚労省)にて開催されました。
今回は、前回(7月31日開催)公表された「
中間取りまとめ(案)」(以下取りまとめ案)に関する議論を踏まえ、修正された取りまとめ案をもとに意見交換が実施されました。
当日の資料「中間取りまとめ(案)」は下記をご覧ください。
(赤字で下線を引かれている部分が前回の議論をもとに加筆修正された箇所)
平成25年度第8回入院医療等の調査・評価分科会議事次第
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000014531.html
取りまとめ案のなかで、特定除外制度廃止にともなう経過措置の内容は「
13対1と15対1の場合と同様の取扱い」と記されていますが、具体的な期間は明確にされていません。この点について事務局は記者団に対して、今回対象となる病床数が13対1、15対1と比較すると多く、与える影響も大きいことを考慮すると、経過措置の期間は、これより長く設定したほうが良いとの意向を示していました。
特定除外制度とは、入院期間が90 日を超える特定の病態にある患者について、特定入院基本料の算定対象及び平均在院日数の計算対象から除外するという制度です。
入院調査分科会で特定除外制度廃止が提案された背景には、入院調査分科会で実施した調査結果から、7対1、10対1入院基本料を算定する医療機関で90日を超えて入院している患者は、それぞれ5.9%、8.5%であり、そのうち、特定除外制度に該当する患者は3.7%、6.5%程度と少なかったこと。
さらに、7対1、10対1入院基本料を算定する医療機関で、特定除外患者を含めて平均在院日数を計算した場合、平均在院日数への影響はそれぞれ+1.5日、+3.2日であったため、入院調査分科会で議論した結果、特定除外制度を廃止しても、各医療機関に及ぼす影響は小さいと判断する委員が多かったためです。
一方で、特定除外制度廃止反対を訴える委員も数人いました。反対委員の意見としては、廃止そのものへの反対意見や一部の疾患には引き続き特定除外制度を適応すべきとの意見があり、前回の入院調査分科会の議論で、そうした意見も中医協総会に提案する取りまとめ案には、記載すべきとの内容でまとまりました。
そこで、今回の取りまとめ案ではその点が加筆されていました。加筆内容の詳細は「入-1-1」(
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=148821&name=0000014533.pdf)の6ページを参照ください。
特定除外制度廃止については、前回のGHCブログでもふれましたが、その実態を把握するために、現在四病院団体協議会(四病協)が、日本医師会(日医)が共同で調査(調査結果は9月中旬公表予定)を実施しており、その調査結果によっては、特定除外制度廃止の方向性が変更になる可能性もあります。
仮に特定除外制度が廃止された場合、前述した事務局の意見を考慮すると、経過措置が半年以上、設けられる可能性は高そうですが、現段階で、自病院に特定除外制度患者がどの程度いるのか、廃止された場合の影響などを分析し把握しておくことは必要不可欠でしょう。
また、重症度・看護必要度の見直しに関しては、追加項目として検討されている、「
計画に基づいた10分間以上の指導・意思決定支援」について、
池田俊也委員(国際医療福祉大学 薬学部 薬学科 教授)は「
「指導」と「意思決定支援」は別々の項目にするのか」と質問したところ、事務局は「
「指導」と「意思決定支援」は別々の項目で考えている」と回答。こうした具体的な内容に関しては中医協総会で決定事項をもとに今後さらに議論を深めていくとのことでした。
亜急性期入院医療管理料等の要件として検討されている、DPCデータなど、提供されている医療内容に関するデータの提出を求めていくという点については、賛成意見が多く「
褥瘡の発生場所の調査など、今の急性期のDPCデータの項目とは異なる項目も必要になるのでは」といった意見や「
亜急性期に適した簡素版のDPCの検討をすべき」といった意見があがっていました。
今後のデータ活用と整備という観点から、
筒井孝子委員(国立保健医療科学院 統括研究官)からは「
DPCに出ているADL評価と看護重症度評価は(共通化できる項目は)なるべく共通化していけば良い」といった提案がありました(
図表1参照)。
図表1 DPCデータにおけるADLの評価基準
出典:平成25年度第7回 入院医療等の調査・評価分科会(8月7日開催)
厚労省配布資料「入-1-2参考」P45より
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=148822&name=0000014534.pdf
重症度・看護必要度に関しては、弊社でも、看護必要度勉強会を定期的に開催し、DPCデータとひもづけた分析(
図表2)を実施しているほか、マンスリーレポートでもたびたび特集しています。
図表2 MDC2別 1日平均A項目点数
出典:マンスリーレポートvol.60(2011年1月号特集「看護必要度データの可能性と問題点」
P8 図2より
このような議論の結果、各委員、取りまとめ案に大筋は合意。今回議論された内容をもとに加筆修正され、8月中に開催される中央社会保険医療協議会総会に、提案されることになりました。
【参考資料】 平成25年度第8回入院医療等の調査・評価分科会議事次第
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000014531.html
看護必要度勉強会
/kango
マンスリーレポート
/service/report
広報部 |
|
事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
|