2010年07月08日
地方では地方ならではの病院のあり方がある――砂川市立病院長・小熊先生
●砂川市立病院 院長 小熊豊先生
2010年10月の本館開設に向けて、新病院の建設準備を進めている砂川市立病院。北海道の中部・中空知地域の基幹病院である同院がめざすのは、24時間対応の救急医療を始めとした急性期医療の充実と、周産期・小児医療、災害医療、精神医療といった政策医療の実践、また、認知症を始めとした高齢者医療への対応と、トータルで地域医療を守るということ。地方ならではの自治体病院のあり方について、砂川市立病院院長の小熊先生にお話をうかがいました。
――現在、病院の新築に向けて準備を進めているそうですね。新病院は、あと2年かけて完成する予定で、救急・周産期・がん・各種急性期医療を今以上に充実させようと準備を進めています。
ただ、一言に「急性期」といっても、都会とは異なるあり方があるのではないかと考えています。今、全国的に入院期間が短縮される傾向にありますが、地域の方々としては「早く追い出される」という意識がどうしても根強い。そして、病院が数多くある都会であればいいのですが、入院できる病院がないわけです。
そして現在、当院の病床稼働率は75%をきるくらいで、患者さんからは「もっと長くいさせてほしい」という声をよく耳にします。
そのため、そうした患者さんの要望に応えるためにも、急性期と亜急性期の二本立てで病院を運営していこうと考えています。
また一方で、認知症の患者さんに対応するための病棟も整えます。
――やはり地域で何が求められているのか、患者さんの要望ありき、ということですね。最も重要な要素です。議会やあり方委員会で出された要望や病院に寄せられる投書、また入院患者さんから直接聞く声も大事にしています。「もっとリハビリをさせてほしい」「ベッドが空いているのであれば、入院させてほしい」などなど、いろいろな意見が寄せられます。都会とは環境が異なるので、病院の対応も異なって当然ではないでしょうか。
広島県尾道市にある
公立みつぎ総合病院がまさにいい例。救急医療からリハビリ、在宅医療、介護、人間ドックや健診まですべての機能を備えていて、なおかつ、経営的にもちゃんと成り立っている病院です。地方、田舎にある自治体病院のあるべき姿の一例ではないでしょうか。
――今回、機能を充実させるということで、さらなるマンパワーが必要になりますね。そうですね。ただ、人を増やすだけではなく、やり方も工夫しなければいけないと思っています。そうしたノウハウはぜひ、GHCに教えていただきたい部分の1つです。
――ところで、ホームページに公表していらっしゃる文章「新病院でめざす医療」(http://www.med.sunagawa.hokkaido.jp/shinbyouiniryouH22.1.5.pdf)を拝見したところ、「地方公営企業法一部適用から新たな経営体制への脱皮」もお考えなのですね。はい。当院の場合、非常に恵まれていて、「一部適用」とはいえ、人の採用に関しても、物の購入に関しても、代々の市長からかなりの裁量をいただいているほうだと思います。医師も看護師も自由に増員することができますし。ただ、大きいのが給与の問題ですね。人件費は、経営の最大の重みですから。
どれだけがんばっても、結局は年数で決まる年功序列の給与体系では、やはり働くモチベーションが上がらないでしょう。職員の給与も改変できるような経営形態に変えることも考えています。
独裁者になって職員から反感を買ってはいけませんが、環境の変化に迅速に、柔軟に対応できるような病院の仕組みを考え中です。
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砂川市立病院
〒073-0196 北海道砂川市西4条北2丁目1番1号
病院長 小熊豊先生
総病床数 521床(一般:408床・精神:103床・結核:6床・感染症:4床)
広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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