2010年07月29日
看護師募集広告に年間1,000万円を――日本病院学会
7月22日(木)、23日(金)、「第60回日本病院学会」(学会長:社会医療法人厚生会木沢記念病院理事長・病院長 山田實紘氏)が岐阜にて開催されました。GHCメンバーも、数人参加いたしましたので、そのご報告を。
まず、1日目の木曜日。
一般口演のテーマの1つに、「人材確保」がありました。これは、どこの病院でも、最重要課題の1つに挙がるのではないでしょうか。
大阪の北摂総合病院(217床)では、看護師不足を受けて、院内プロジェクトを立ち上げ、看護師の獲得に力を入れてきたそうです。発表されたのは、看護部看護室の糸島輝美さん。
看護師募集の広告には、年間で約1,000万円を投資されたとのこと。さらに、院内の職員の紹介で就職した場合、紹介した職員、就職した職員の2人に対して、数回に分けて合計15万円を提供するという、紹介制度も設けたそうです。
これには、会場から「すごいね」という驚きの声が漏れていました。
また、1日目のランチョンセミナー「640スライスCT導入の経緯とその効果」(東芝メディカル主催)では、三井記念病院の高本眞一先生が座長を務め、済生会熊本病院院長の副島秀久先生が講演されました。
済生会熊本病院では、今年3月、320列のCTを導入したそうです。この装置の特徴は、1回転で16㎝という広範囲を、わずか0.35秒で撮影できること。また、撮影時間が短い分、使用する造影剤も少なく、患者の検査時の苦痛も緩和されます。
講演では、この最新のCT装置の導入に伴う収支シミュレーションや実際の症例の紹介が行われました。
シミュレーションによると(実際の購入金額は不明ですが)、原価償却は6年間で、1日あたり21件(うち心臓CT8件)で、収支面で採算がとれるとのこと。また、同装置を導入したことによるメリットについても説明されていました。第一に、検査待ち日数が平均30日から10日前後に短縮。また、それによって検査件数も増加。さらに、外来で撮影し入院する必要性が減ったことにより、病床の有効利用も進んだそうです。
2日目のランチョンセミナーの1つは、緩和ケアをテーマにしたものでした。大日本住友製薬主催の「病院における緩和ケア:協働して明日を拓くために」と銘打った、このセミナーでは、公立学校共済組合東海中央病院病院長の渡邊正先生を座長に、名古屋掖済会病院 緩和医療科部長の家田秀明先生が講演されました。
緩和ケア病棟入院料を算定している施設は2010年6月時点で全国201施設と、この10年で約2倍になりました。同入院料の算定要件の1つに、①身体症状の緩和を担当する常勤医師、②精神症状の緩和を担当する常勤医師、③緩和ケアの経験を有する常勤看護師、④緩和ケアの経験を有する薬剤師――の4名から構成される緩和ケアチームが設置されていること、があります。
しかし、実際は、チームがあっても、うまく機能していないケースのほうが多いそうです。チームがチームとして機能するためには何が必要なのか、どのような考えが必要なのか、ピーター・ドラッガーの言葉を引用しつつ、説明されていました。
このほか、1日目の午前中には、新党改革代表で前厚生労働大臣の舛添要一氏の講演、2日目の市民公開講座では、「ミステリーで終わらない死因究明と画像診断」というタイトルで、ベストセラー作家で医師の海堂尊氏の講演もあったようです。
広報部 |
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