2010年08月03日
「医療と介護の役割について時間をかけて整理すべき」――介護保険部会
先週30日(金)、社会保障審議会・介護保険部会を傍聴してきました。
介護関連の検討会・審議会には、普段は足を運んでいないのですが、介護業界では今、どういうことが話し合われているのだろう、と覗いてきました。
介護保険部会では、10月に制度見直しの基本的な考え方を取りまとめ、11月に最終的な制度見直し案を提示する予定で、それに向けてテーマごとに論点をまとめ、議論を開始しているとことです。
この日のテーマは、「給付のあり方(施設、住まい)について」。
具体的には下記項目について、厚生労働省から論点が提示されるとともに、フリーディスカッションのような形式で委員から意見を求めました。
(1) 今後の介護保険施設の機能や在り方
:介護保険施設の整備方針、ユニット型個室と多床室、施設類型のあり方
(2) 有料老人ホーム及び生活支援付き高齢者住宅のあり方
(3) 低所得者への配慮(補足給付)のあり方
(4) 療養病床再編成及び施設の設置主体について
このなかでも医療との関連について最も言及されたのは、やはり4つめの「療養病床再編成及び施設の設置主体について」。
介護療養病床に関する論点は次の2つです。
○転換後の患者の望ましい居場所が確保できるのか
○仮に療養病床転換を凍結した場合、本来介護保健施設で対応すべき患者が療養病床で対応され、社会的入院につながるのでは
また、
施設の設置主体に関する論点は、以下の通りになっています。
○規制・制度改革に係る対処方針(平成22年6月18日閣議決定)
※で、
特別養護老人ホームへの社会医療法人参入を可能とする方向で検討し、結論を得るとされている。また、「
社会福祉法人と同程度の公益性及び事業の安定性・継続制度持つ法人の参入を可能とすることの是非について検討する」こととされている。
公益性、安定性、継続性の観点から、どのような法人を検討対象とすべきか。
○介護療養病床型施設からの転換が進まないなか、
・転換先として、転換型介護老人保健施設同様に、医師、看護師配置を行う特養類型をつくるべきか?
・介護療養病床からの受け入れ先を拡大するため、転換を決めた医療法人に特養の設置を認めるべきか?
委員からは、「『本来介護保健施設で対応すべき患者』とはどういう患者なのか。介護保険の中でも医療が行われているのが現状。医療と介護、そしてリハビリについても、時間をかけて整理しなければいけない」という意見が挙がりました。
また、療養病床再編に向けて、入院患者と施設入所者の状態像を把握するために今年6月、介護保険3施設(療養病床、特養、老健)、医療療養、障害者施設・特殊疾患病棟、在宅療養支援病院・診療所を対象に利用者に関する調査が行われました。
このことについて、委員からは、「急性期は、なぜ、DPC病院も含めて把握しないのか? 急性期からの受け皿、在宅患者が急性憎悪した場合の受け皿の両方の流れを把握しなければわからない」「医療のあり方と介護の受け皿の関係は大きい。時間をかけて、原点に立ち返って議論すべきときにきているのでは?」といった指摘がありました。
※●行動刷新会議 規制・制度改革
http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/publication/p_index.html●規制・制度改革に係る対処方針(本文)(平成22年6月18日 閣議決定)
http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/publication/220618/item100618_03.pdf
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