2010年08月05日
地域医療指数の「がん登録」、地域がん登録を行っていない都県では?――DPC評価分科会
今週火曜日、DPC評価分科会の会合が開かれました。
議題は、①7月30日に告示された地域医療指数について、②平成21年度調査の追加集計(案)、③平成22年度特別調査(案)の3点でした。
まず、地域医療指数に関しては、「脳卒中連携」「がん連携」「地域がん登録」「救急医療」「災害時における医療」「へき地の医療」「周産期医療」という7項目について、各DPC病院のポイント取得状況を紹介。このうち、「地域がん登録」に関しては、施設ごとに登録件数も公表されました。
結果について、東邦大学医療センター大森病院心臓血管外科部長の小山信彌委員は、「地域がん登録は、(一部の都県は地域がん登録を行っていないため)、取りたくても実施できない施設があることが、以前から指摘されているが…」と、厚生労働省事務局に見解を求めました。
現在、地域がん登録を実施しているのは38道府県1市。これ以外の地域に位置する病院は、それぞれの病院が実施しようと思っても、地域がん登録のポイントを取得することはできません。
これに対し、事務局側は「今回は初回としてこうした形で導入したが、今後、ポイントの数え方、評価の項目ともに話し合いを行っていただきたい」とコメントしました。
また、地域医療指数は、6項目について「行っているか」「いないか」の2拓でのポイント制。地域がん登録における各施設の件数を見ると、5000件近くの病院もあれば、2件という病院もあり、件数はさまざまです。
こうした状況について、厚労省の担当者の方は、会合後のメディア向けの説明のなかで、「実施しているか、まったくしていないか、なので」と苦笑いを見せていました。
2つ目の議題は、「平成21年度調査の追加集計(案)」。「DPC導入の影響評価に関する調査結果及び評価」は、これまでDPCへの参加年度別に集計が行われてきました。これに足しいて、以前の会合時に委員から、「参加年度別の集計のみではなく、病院類型別などで集計をみたい」という指摘があり、再集計の方法案が示されました。具体的な指標案は、下記の通りです。
◎病院の施設類型等により、階層化した再集計(案)
・病床規模:100床未満、100~199床、200~299床、300~399床、400~499床、500床以上
・病床構成:DPC算定病床比率(60%未満、60~80%未満、80~100%未満、100%)
・診療機能等:総合病院、専門病院、がん専門病院、特定機能病院、地域医療支援病院、大学病院、がん拠点病院、社会医療法人
・年齢階級:1歳未満、1歳~6歳未満、6歳~15歳未満、15歳~50歳未満、50歳~65歳未満、65歳~75歳未満、75歳以上
◎新たな視点等に基づくクロス再集計等(案)(1)診療内容の変化
再入院率×再転棟率
退院時転帰×再入院率
退院先×再入院率
(2)診療プロセスの変化
病床稼動率
後発医薬品採用率
化学療法、放射線療法、手術の実施
医療従事者あたりの労働量(入院件数、手術件数、手術数等)の調査
これらのうち、議論が集中したのは、「診療プロセスの変化」を測る指標の1つとして挙げられた「医療従事者あたりの労働量」。DPC導入後、医療従事者の業務負担が増えているのではないかということを検証するための指標ですが、「単純に医療従事者数で割ったときに、実態を出せるのか」、「医療従事者をどう捉えるかでも幅がある」といった指摘がありました。ただ、「業務負担を考えるときに質と量の2つの観点があり、質を測るのは難しいが、量も判定基準にはなるだろう」と、まずは「医師を主眼に添えて、実施する方向」(厚労省担当者談)。
3つ目の議題の「平成22年度特別調査(案)」に関しては、外来における化学療法、放射線療法、短期滞在手術の実施状況や、今年度改定から導入された機能評価Ⅱに関する調査などを新たに実施する予定です。
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