2010年09月15日
看護師から、専従の診療情報管理士へ
岐阜市民病院 診療情報管理室 浅野美幸さん(写真左)、牧野直美さん(同右)
DPCデータの精度は病院によってまちまち…といわれるなか、岐阜市民病院のデータ精度は高い。顕著なのは、詳細不明コードの割合。
GHCが所有する2010年4月から6月のDPCデータで分析すると、全国の病院の詳細不明コード発生割合は、平均14.2%。対して、岐阜市民病院は8.9%。
こうした実績に貢献しているのが、看護師でありながらも、診療情報管理士の資格を取得し、現在は専従として診療情報管理室に所属している牧野直美さんと浅野美幸さんの2人です。
今回は、そんなお2人にお話をうかがいました(文中敬称略)。
――診療情報管理室専従の看護師は、全国的に見てもまだ少ないと思います。診療情報管理士をめざされたきっかけは何かあるのでしょうか?牧野 看護師として20年間働いて、そろそろ違うことをやりたいなと考えていた矢先に、種村先生(同院副院長)が、診療情報管理室専従の看護師を募っているということを知って、診療情報管理士の資格を取り、異動を希望しました。
――お二人が診療情報管理士の資格を取得する前は、種村先生が中心となってDPCデータを分析されていたんですよね。浅野 最初は何をやったらいいのかわかりませんでした。そうした中で始めたことのひとつが「DPC通信」。早急に改善してほしいことを不定期で、院内のポータルサイトと紙媒体を使ってアナウンスしています。院内ポータルサイトのほうは、電子カルテを見る前に必ず開く画面に表示しているので、先生方の目に入るはずです。
また、退院時入力の確認とコミュニケーションを取る意味で、各診療科のラウンドを始めました。よくface to faceの関係が大切と言われるじゃないですか。
――そういう点では、お二人はもともと看護師なので、医師とも話がしやすいのではないでしょうか。浅野 そうですね。ただ、二人が経験していない診療科については、先生ともあまり面識がないですし、材料と検査が結びつかなかったりと診療の中身がイメージできませんので、見学をさせてもらいました。たとえば循環器もその1つで、カテ室に1日滞在させてもらいました。コーディングを行うにあたっても、診療の中身がわかっていなければ、なぜこの検査が必要なのか、判断がしづらいのです。
牧野 そしてもう1つ、最初のころから意識していたのは、なるべくデータとして残していこう、ということ。コーディングを変更したものに関しては、必ずリストにしてコーディング委員会に提出するとともに、DPCの点数がどれほど変わるかといった情報も添えて各先生にも見てもらっています。出来高に比べてマイナスになる症例についても、同様にリストにして残しています。
――最初からラウンドをされていたというのは、やはりお二人が現場感覚を持っていて、各診療科との距離が近いからこそできたのかもしれませんね。浅野 今でこそ、先生方が気軽に声をかけてくれたり、質問してくれたり、近くに来たときに立ち寄ってくれたりと、情報が届きやすくなっています。でも、最初のころは、「医師がつけた病名に文句をつける人」と思われていたのではないでしょうか。私たちとしては、「こうした方がもっと良いですよ」と伝えているつもりなのに、なかなか受け入れてもらえない部分もありました。
牧野 分析の結果を持ってラウンドをするようになってからも、データを見せても「○○だから難しい」といわれると引き下がるしかなかったり、突っ込まれると先生を説得するだけのデータを持っていなかったんですね。
――今のような関係を築くまでには、当初はやはり困難もあったのですね。牧野 まずは自分たちの意識を変えようと思いました。そのためにも、コーディングにしてももっと勉強しようと、乃木坂スクール(国際医療福祉大学院)やいろいろな研究会に参加させてもらいました。
浅野 種村先生が一緒に考えてくれること、そして院内全体を引っ張っていってくれていることもとても大きいです。先生のおかげで、私たちが仕事をやりやすい環境が整っていると思います。また、GHCのコンサルティングが始まってからは、GHCが分析を基に指摘してくださった改善ポイントやプレゼンを聞きながら、具体的にどの症例のことをいっているのか、どの症例を改善すべきなのか具体的に把握できるので、これまで積み重ねてきたことがいきているのかなと感じています。
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広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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