2010年09月22日
「“質”から“価値”へ」ロバート・スモルト氏――GHC感謝祭ver.2
前回のブログに引き続き、18日(土)に開催したGHC感謝祭の様子をお伝えします。
ゲストスピーカーのお二人目は、メイヨー・クリニック 名誉最高経営管理責任者、アリゾナ州立大学 医療政策研究プログラム 副所長のロバート・スモルト氏。スモルト氏には、16日の名古屋第二日赤病院での講演会に引き続き、お話いただきました。
今回のテーマは、「最高水準を求めて――メイヨー・クリニックは、いかにしてより高い『医療の質』と『価値』を実現するのか?」。
メイヨー・クリニックが考える「価値」とは、「質=アウトカム+安全+満足度」を「患者1人あたりのコスト」で割ったものです。
そして、「良いアウトカムを得るためには、プロセスが重要」と考えています。
良いアウトカムを得るためのプロセス管理として、メイヨー・クリニックでモニタリングしている項目には次のようなものがあるそうです。
○基本的な項目
・公表されたプロセス指標
市中肺炎を例にすると、「抗生物質投与前の血液培養」「6時間以内の抗生物質投与」「インフルエンザの予防接種」など
・院内の分析でわかってきた、アウトカムに影響を与えるプロセス
肺移植、QT延長症候群など
○患者の安全管理
投薬イベント、有害事象の報告、センティナルイベント
○患者のアウトカム
リスク調整後の死亡率、予期せぬ死亡、リスク調整後30日間再入院
○患者満足度
治療全体に対する満足、他の人へ薦めてくれるか
○経時的なコスト
余命6ヶ月のダートマスコスト、患者一件あたりのコスト
そして、毎日、すべての患者に質の高い医療を提供するには「インフラの整備」「工程の管理」「実践」「組織文化の醸成」のどれもが大切と述べた上で、「統一組織は個の集合体に勝る」とし、組織文化の醸成が最も大事であるという考えを示しました。
また、価値を創造するためのシステムとして、次の4つを紹介してくださいました。
1)“質”のプログラムを“価値”のプログラムに変える
医療の質の向上はもちろん、コストも考えなければならないということ
2)統合性を見直す
医師と病院の関係のほか、合併症の低減、受診回数を減らす、 再入院、ICU在院日数の短縮など
3)テクノロジー
意思決定支援システム(DSS)
4)基本原則
判断、優秀な人材、イノベーション
講演の最後、「なぜ、コンスタントに革新を行い、変わらなければならないのか?」ということの答えとして、改めて示してくださったのは、「患者のニーズを最優先するから」というメイヨー・クリニックの創設時から引き継がれている根本のコンセプトでした。
院内のデータを整備し、データベース化して戦略的に活用していること、ITシステムを経営に駆使していることなど、最新のテクノロジーを有効的に活用されていることにも感銘を受けましたが、何かを判断すべきときに立ち返るべきぶれない原点、考えを明確にしておくことの大切さを実感しました。
そしてこのことは、高野氏が話してくださったザ・リッツ・カールトン・ホテルの話にも共通していたように感じます。
広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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