2010年11月29日
一部の疾病は1入院定額に?――DPC評価分科会
先週11月24日に開催されたDPC評価分科会の会合で、前回に引き続き、「現行どおりの1日当たり定額か、あるいは1入院当あたり定額か」という問題が議論にあがりました。
松田委員(産業医科大学医学部公衆衛生学教授)は、「DPCに関連していつも出る質問ですが…」との前置きの上で、「『1日当たり』定額がDPCで、『1件当あたり』定額がDRGと考えている人が多いが、DPCとDRGでは分類方法が全く違う」と指摘し、「分類としてのDPCと、支払い方法としての名称をわけたほうがいいのではないか」と提案がありました。
また、1入院あたり定額への移行については、池上委員(慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教授)より、「平均在院日数の分布がなくなったのであれば、1件あたりでもいいのではないか」といった発言があったほか、山口委員(癌研有明病院副院長)も、「基本的には(1入院当たり定額には)反対で、ごく限られたものにしか適用してはいけないが、胆石のような病気であれば…。病気は選ばなければいけないが、胆石などの手術でも個室に入っている患者さんの入院を長引かせているところもあると聞く。いつまでも日割りでいいのか?」と意見を述べました。
一方で、「1件当たりにするということは非常に大きな社会的混乱を引き起こす。(DPCのままで)在院日数は着々と減ってきていますし、現時点で変更する必要はない」(酒巻委員・群馬大学医療情報部教授)と、反対する声も依然ありました。
こうした議論に対し、西岡分科会長(横浜市立みなと赤十字病院名誉院長)は、「(在院日数が)固まってきたものに関しては1入院が可能になるだろう。ただ、現時点では難しい」とまとめました。
このほか、大規模な病院ほど有利になっているのではないか、との指摘も委員から挙がりましたが、「特定機能病院の場合、(22年度診療報酬改定によって)小児入院医療管理料が取れるようになったことが大きい。決して大型病院が良いわけではない。逆に、カバー率を考えたのは、大きな病院は効率的でないから」(小山委員・東邦大学医療センター大森病院心臓血管外科部長)、「大きな病院は経費がかかるので仕方ない」(西岡分科会長)と、否定。
岡山県にある金田病院(177床)を中核とした社会医療法人緑壮会の理事長である金田委員は、「地域で役割は果たしているけれど、(症例)数は少ないところの評価を、地域医療指数でお願いしたい」と要求しました。
次回のDPC評価分科会は、12月16日に開催の予定です。
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