2011年05月18日
「平成22年度診療報酬改訂の結果検証に係る特別調査」9月~10月に速報
5月18日、
第190回中央社会保険医療協議会総会(以下、中医協)が厚生労働省(以下、厚労省)で開催されました。朝から厚労省の前で一般傍聴をするためにならんでいると、数人手前で「一般傍聴席はいっぱいになりました」とのこと。中医協は、事前の傍聴予約などができないため、傍聴希望者があふれてしまう場合は、断られることがあります。仕方がないので、配布資料をもらい、退散。
配布資料をもとに本日の中医協で行われた議論内容の一部を紹介します。
まず、本日の最初の議題として記載されていた、診療報酬調査専門組織医療機関のコスト調査分科会からの「
基本診療科に係るコスト調査・分析の実行可能性に関する報告書」について。
同報告書のなかでは、コスト調査・分析結果の活用に際して、以下の3点の扱い方を整理する必要があると記載されていました。
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1 医療に対するニーズへの対応などの政策的課題、保険制度を分かりやすくするため診療報酬点数の設定・改定の際に透明化を強化する課題、および一連の医療サービスの提供に着目した包括化を検証する課題等に関連したコスト調査・分析の活用方法
2 診療報酬点数と実際原価との乖離が生じている場合に、診療報酬点数の改定により対応するのか、または保険医療機関等の経営努力により対応するのかを検討する際のコスト調査・分析結果の活用方法
3 経営管理技法の浸透による医療の効率化の推進に関連したコスト調査・分析結果の活用方法
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また、「
入院基本料に関するコスト調査の実行可能性」を検討した結果として、入院基本料が想定するサービス内容の定義づけ(原価計算対象の明確化)の必要性について検討が重ねられたところ、「
誰にでも納得できる明快な表現により具体的に定義することは困難な状況にある」とされ、「
原価データを基にした経営管理等が十分に浸透していない現状を考慮すると、長期的視点に立って調査研究する体制の構築が望まれる」との報告が記されていました。
ただ、入院基本料の想定するサービス内容が明確に定義されたとしても、「
入院環境に関する費用が、入院基本料の対象となる費用だけではなく、他の収益も入院環境に相対していることをどのように評価するのか」「
入院環境に要する費用、具体的には病室の減価償却費や清掃費等を、診療報酬によって手当てされている入院基本料、個室病室等において徴収されている室料差額、あるいは(自治体病院の場合)、資本費にかかわる自治体からの補助金収入等にどのように対応されるのか」「
診療上の理由で室料差額を徴収できない場合の個室費用をどのように取り扱うのか」などを例示し、「
実際にコスト把握及び配賦を行う際に生ずる問題点を想定し、考え方を整理する工夫が大切」という見解が示されていました。
GHCがMDV社と一緒に、
コストマトリックス(CM)を開発した際にも、同様に議論に議論を重ねて、コストの定義を行ったという過去があります。
また、アメリカのメイヨー・クリニックではDRG/PPSに対応するため、ダウンサイジングに当たって精緻なコスト分析を行い、複数のシミュレーションから病院の取るべき方向性を決めていきました。具体的なシナリオを作成し、比較、分析して経営戦略を練るためにはコスト分析は必須です。日本の医療の戦略を10年越し、20年越しで見据えていく重要なターニングポイントにきていると思います。詳細はアキよしかわの著書である『
日本人が知らない日本医療の真実』をご覧下さい(
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なお、検討されている調査方法としては、
10医療機関程度の財務諸表の精査、想定されている所要期間は、原価計算の方法論が確立するまでに「不確定ではある」としたうえで、「
5年程度要すると思われる」とのこと。所要経費についても「
3千万円以上はかかる」との予測がされていました。
一方、「
平成22年度の診療報酬改訂の結果検証に係る特別調査」について調査項目である以下、6項目について、7月から調査を実施し、
9月~10月の総会にて、「
平成23年度調査の報告書(速報版)」についての報告を実施するとのスケジュールも記載されていました。
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1 病院勤務医の負担の軽減の状況調査
・ 病院勤務医の負担の軽減及び処遇改善に係る措置の影響調査
・ チーム医療に関する評価創設後の役割分担の状況や医療内容の変化の状況調査
2 精神入院医療における重症度評価導入後の影響調査
3 在宅歯科医療及び障害者歯科医療の実施状況調査
4 回復期リハビリテーションにおける質の評価、がん患者リハビリテーションの創設など、リハビリテーション見直しの影響調査
5 在宅医療の実施状況及び医療と介護の連携状況調査
6 後発医薬品の使用状況調査
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