2011年05月23日
医療の質を可視化する-慶応大学ビジネススクール-
先週の金曜日5月20日、慶応大学ビジネススクール
田中滋先生の講座(以下、田中ゼミ)にて、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン代表取締役社長の
渡辺幸子が講義を行ってきました。
対象は
田中先生の授業を受講している学生約25名。
田中先生はご存じの方も多いと思いますが、日本における医療経済学、介護経営学、ヘルスケアマネジメントの第一人者です。
現在も大学教授の傍ら、厚生労働省の各種委員会で政策立案につながる発言をされていますが、実は渡辺の恩師にもあたります。
渡辺はかつて
米ミシガン大学に医療経営学を学ぶために留学していた経験があります。その留学直前に学んだ場が
田中ゼミであり、今でも年に何回かは田中ゼミの学生と懇親する場を持っています。
GHCのスタッフは会社の健全性が認められ、毎年2回、
田中先生の講義聴講が許可されています。
その講義の中では外部の講師が話をすることがあるのですが、今回は急性期医療をデータ分析する、コンサルタントの立場から渡辺が外部の講師役として指名され、「
医療の質を可視化する~DPCデータ、レセプトデータの活用~」というタイトルで話をしました。
渡辺は、講義の中で、DPC制度の基本的な仕組みの説明から始まり、大腸悪性腫瘍(腹腔鏡下結腸悪性腫瘍手術)におけるクリティカルパスを示しながら、病院間における抗生剤投与日数のバラツキ、ドレーン抜去、食事開始日が大きく違う実態までを、話していきました。受講生のなかの、医療にバックグラウンドを持つ学生は大きく頷いていたようです。
受講生の中には外部からの聴講生もいるのですが、日本理学療法士協会から参加されていた方からは、「
乳房悪性腫瘍の術後、リハビリを実施している施設は、がん診療連携拠点病院の中でも半数弱であり、その内容も単位数、実施率、開始日いずれもばらつきが大きいこと」に興味を示されていました。
田中先生からも、「
脳梗塞になって3人に1人しかリハビリをやってもらえない病院もある。これはびっくり」とコメントするなど、DPCデータを使うことにより医療が可視化できることには、受講者一同興味を持って渡辺が示したスライドを見ていました。
一方、昨年の診療報酬改定により、DPCデータの中に患者住所の郵便番号記載が必須になったことから、病院間の地域連携もDPCデータからわかるようになったことも紹介しました。
レセプトデータも組み合わせると、データは幾重にも病院の改善可能性を示し、興味深い傾向がわかります。
学生からの質問は、「
DPCコードだけでなく、重症度によっても比較が可能か?」といった分析内容に焦点をあてたものから、「
適正な医療とは何か?」という根源的なものまで多岐にわたりました。
その中で一番学生として理解に時間を要したのは、「
DPC導入により日本の医療費は増えたのか?」という点だったようで、「
DPC導入により医療費が上がったと捉えるのではなく、医療の中身が可視化されることにより、患者、医療提供者へのメリットが大きい。ブラックボックスにあった医療がこれだけ可視化されたことで、確実に医療の質は向上している。医療費が上がるというのは別の理由が大きい」と
田中先生からも補足がありました。
最後に、5月21日が
田中先生の
誕生日ということで、渡辺からの花束のサプライズプレゼント。
受講生と一緒に「ハッピーバースデー」の大合唱を贈りました。
実は、この花束を買った直後に、渡辺は花束で前が見えなくなり、思いっきりこけてしまうというハプニングもありました。
転んだ拍子に、ストッキングが破れ、膝小僧からは血が出て、渡辺自身、パニック状態でしたが、花だけはなんとか死守し、無事に当初の目的を果たすことができたのでした。
渡辺が体をはって守り抜いた花束を抱えた田中先生とともに
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