2011年05月31日
「医療機関群」のグループ分けを行うための機能的評価指標案として3分類を提案
5月30日、平成23年度の第2回目のDPC評価分科会が、厚生労働省(以下、厚労省)で開催されました。
5月30日厚労省で行われたDPC評価分科会の様子
まず、前回の議事概要とともに今回の議題について厚労省保険局医療課丸山主査から説明がありました。
そのなかで、「
DPC/PDPSにおける高額薬剤の取扱いに係るヒアリング」については、
6月13日(月)に、3時間弱、実施することを発表。具体的な内容(下記)が示されました。
表1 ヒアリング対象者ヒアリング項目
(1)DPC/PDPSで問題となる高額薬剤の実例
(2)同一DPC(診断群分類)におけるバラつきの実情
1患者レベルのバラつき(個別患者ごとの薬剤やregimenの違い)
2 Regimenの種類によるバラつき(同一薬剤であってもregimenが異なる)
3 施設間のバラつき(医療機関の特性(難症例の紹介患者が多く集まる、他院より短期退院をしやすい環境がある等)や運営方針の違い)
(3)現行制度に関する指摘・提言等
1主要regimen毎にDPCを設定している現行方式について
2 新薬等のDPCにおける高額な薬剤等への対応ルール(いわゆる「平均+1SDルール」)について
3 その他
続いて、本日の争点となった、「
医療機関群」の大学病院本院以外のグループ分けについて、どのようにグループ分けし、データ分析していくかについての検討が進められました。
前回の同分科会で、大学病院本院は、1つの医療機関群としてデータを検証していくことが決定しましたが、本日は、それ以外の医療機関をどのようにグループ分けし、データ分析していくかについての検討が進められました。
はじめに、これまでの議論を踏まえ、
1機能的な視点2診療実績データ(出来高実績データ)の2つの視点から、医療機関群の検討を進めていくことが厚労省事務官から提案されました。
大学病院本院以外の医療機関(1,369病院)についての
1機能的な視点からの分類としては、「
制度上の位置づけのある医療機関群」として、特定機能病院、大学病院本院(特定機能病院である大学病院) 、国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)、地域医療支援病院、社会医療法人、がん診療連携拠点病院(都道府県・地域)、臨床研修指定病院を資料とともに示しました。
一方、「
制度上の位置づけは必ずしも明確でないが、診療機能として他の医療機関との違いがあると考えられる医療機関群」として、小児専門病院(小児入院管理料算定施設等)、ケアミックス病院(療養病床併設医療機関等)を提示。
各医療機関群において、基礎係数を設定する医療機関群として適切か否かを参考資料とともに検証した結果、優先的に検討すべき機能類型案として
1医師研修機能
2小児医療提供機能
3他病棟との連携機能を有する病院
の3つに整理できることが厚労省事務官から発表されました。
さらに、
2診療実績データの視点として、「
診療実績データ(出来高実績データ)に基づき、包括範囲に係る標準化や効率化に関する評価を行う(検証する)ことが必要である」こと、「
その際の指標としては、DPC/PDPSにおける基礎係数(医療機関係数の一部)の役割を踏まえ、包括範囲に相当する1日当たり出来高点数を中心に評価することが適当である」ことが示されました(表2)。
表2 医療機関群設定に係る具体的な指標の候補(案)
こうした提案に対し、
相川直樹委員(慶応義塾大学名誉教授)から医師研修機能を有する病院の評価指数として、「
臨床研修病院でも臨床研修があまり行われていない病院もある。実際に臨床研修医を何人受け入れているかということも調査してほしい」といった主旨の意見があがりました。
また、数人の委員から、ケアミックス病院として1つに分類される病院でも、各病院によって役割に違いがあるため、画一的に医療機関群に分けるのはどうなのだろうかといった疑問の声があがりました。それに対し、
小山信彌分科会会長(東邦大学医療センター大森病院心臓血管外科部長)から、「
他に良い案があれば提案してください」としたうえで「
今回ご提案した評価指標は、ある程度の機能をもっている病院として、ここらへんでどうですかというもの。基礎係数はあくまで基礎ですから、この上に各病院における評価がのってくる。その基盤となる、グルーピングをしていく1つの指標としてはいかがですか、そのための調査をしませんかといった提案なのです。今回のグルーピングで、分析してみて、このグルーピングだとうまく評価できないという結論がでれば、再検討する必要があります」といった内容のコメントがありました。
その後、参考資料として、現時点でのデータを使用した、医療機関群別の「1日あたり平均点数」や「1入院あたりの平均点数」などが厚労省事務官から資料とともに提示されました。
最終的な結論としては、厚労省から提案された評価指標案を基に分析していくことについて、概ね委員の合意が得られました。
なお、記者ブリーフィングのなかでの厚労省保険局医療課丸山主査の話によると、「医療機関群」については、夏から秋を目処にどのようなグループ分けにしていくかの最終的な判断を下していくとのことでした。
参考資料:厚生労働省ホームページ
「平成23年度第2回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会 議事次第」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001dt9e.html—–
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