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2011年08月03日

高額医薬品、平均在院日数遷延を回避するための点数設定手法の導入を検討

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8月1日に開催されたDPC評価分科会では、医療機関群のグループ分けのほかに、高額薬剤にかかわるDPC病院での取り扱いについてもこれまでDPC分科会で検討されてきた内容を踏まえ、「新規高額薬剤等への対応」、「DPC(診断群分類)設定のあり方への対応」、「在院日数遷延への対応」についての案が厚労省担当官から提示されました。

まず、「新規高額薬剤などの取り扱い」については下記のような変更案が提案されました。

○ 判定基準を標準偏差からパーセンタイルへ変更 現行方式:対象DPC包括範囲薬剤費の平均+1SD(標準偏差)を基準として判定。 →変更(案):対象DPC包括範囲薬剤費の84パーセンタイルを基準として判定。

(参考) がんの化学療法症例数上位5DPCにおける 「平均+1SD」の値とパーセンタイルの関係




○ 比較対象区分の見直し(複数DPCの包括的判定からDPC毎の個別判定へ変更) 現行方式:適応症単位で該当するDPCを全て一括集計して判定。 →変更(案): ・ 該当する個別DPCが一定の範囲で特定出来る場合 個別DPC単位で集計して判定。 ・ 該当する個別DPCが特定出来ない場合又は多数に及ぶ場合 全包括対象DPCの包括範囲薬剤費の84パーセンタイルを基準として判定。

○ 包括から除外され出来高評価となるDPC番号や適応症等の明示 現行方式:薬剤一般名称と日本語適応症のみ告示で掲載。 →変更(案):薬剤一般名称、日本語適応症の他に、ICD-10コード、対象DPC番号(14桁)を明示。

この提案を受け、相川直樹委員(慶應義塾大学名誉教授)から、瀬戸泰之委員(東京大学大学院医学系研究科消化管外科学教授)に胃がんの平均値が低い理由について質問があり、「ほかの疾患は分子標的薬がはいっているため、高くなっているのではないか」といった内容の回答がありました。

続いて、「DPC診断群分類)設定のあり方への対応」については、高額薬の使用に係るDPCの見直し(統合/分離)として、当面次のような考え方で対応することとが提示されました。

——————————————————————————– 1 次の条件を共に満たすものについてはDPCの分離を検討する。 ○ ガイドライン等で認められている標準レジメンであって、臨床上の効果が明らかに異なるもの ○ 診療報酬上のデータから明らかに医療資源投入量が異なるもの 2 次の条件のいずれかを満たすものについてはDPCの統合を検討する。 ○ 臨床効果が同等とされる(医学的に選択の余地のある)レジメン ○ 診療報酬上のデータからあまり医療資源投入量が異ならないもの ——————————————————————————–



※1 臨床上の効果が同等で医療資源投入量が異なるもの同士については、同一のDPCにすることで、医療機関の裁量でより効率的な診療がなされることが期待される。 ※2 医療資源投入量が同等で臨床上の効果が異なるもの同士については、同一のDPCにすることで、医療機関の裁量でより臨床上の効果が高いものが選択されることが期待される。

また、「在院日数遷延への対応」については、「平均在院日数遷延を回避するための点数設定手法の導入を検討することとし、その具体化(対象となるDPCの選定や具体的方法等)に向けて今後引き続き検討する」ことで、合意が得られました。

そのほか、これまで議題にあがっていた、高額な検査等への対応や 特定入院期間と薬剤投与時期の関係などについては、次期改定に向けてその運用などを検討していくこととなりました。

いずれの提案もこれまで委員からあがったいくつかの提案を分析・調査を重ねて、提示された内容であったため、大きな反対意見などはなく、合意を得られました。



参考資料:厚生労働省ホームページ 「平成23年度第5回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会 議事次第」 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001kwdt.html


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広報部
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