2012年02月03日
「がん」診療連携にかかわる診療報酬改定にクローズアップ
最近、全国各地で大雪が降り、本当に寒い日が続いていますが、今日は、明日から「
春」を迎える、季節の変わり目、「
節分」です。節分といえば、「
豆まき」と「
恵方巻き」。今年の恵方は、北北西のようです。
さて、
中央社会保険医療協議会(中医協)での診療報酬改定の議論は大詰めを迎えています。そうしたなか、明日GHCが分析協力している、がん医療の質の向上を目的に、千葉県のがん診療連携拠点病院が集まり、病院間でがん医療の比較分析を行う「
千葉CQI(Cancer Quality Initiative)研究会」が開催されます。そこで今回は「
がん」の診連連携に焦点をあてて、中医協の改定内容を紹介していきます。
■「
がん診療連携拠点病院加算」の算定要件のケースを拡大
■
まず、「
がん診療連携の充実」を目的に、要件が見直される予定の「
がん診療連携拠点病院加算」。これは、現行案の要件では、「
悪性腫瘍と診断された患者」のみが算定可能でしたが、改定案では「
悪性腫瘍疑いで紹介され、がん診療連携拠点病院の医師に悪性腫瘍と診断された患者」という文言が加筆されています。
(現行案)
がん診療連携拠点病院加算(入院初日) 500点
(算定要件)
別の医療機関の医師に悪性腫瘍と診断された患者
(改定案)
がん診療連携拠点病院加算(入院初日) 500点
(算定要件)
別の医療機関の医師に悪性腫瘍と診断された患者、
または悪性腫瘍疑いで紹介され、がん診療連携拠点病院の医師に悪性腫瘍と診断された患者
■連携を評価する「
がん治療連携管理料」を新設
■
さらに、がん診療連携拠点病院で入院には至らず外来化学療法等を受けた場合、その連携を評価してくれる、「
がん治療連携管理料」が新設されます。
(新設)がん治療連携管理料 ○点
(算定要件)
別の医療機関の医師に悪性腫瘍と診断された入院中の患者以外の患者、または悪性腫瘍疑いで紹介され、がん診療連携拠点病院の医師に悪性腫瘍と診断された入院中の患者以外の患者に対して、化学療法又は放射線治療を行った場合
■「
がん治療連携計画策定料」の算定要件ケースを拡大し、2を新設
■
続いて、「
がん治療連携計画策定料」の算定要件の拡大です。同管理料は、これまで「
入院中」に策定した場合に算定が可能でしたが、入院中だけではなく、「
退院の日から30日以内」に策定した場合にも、算定が可能となりました。さらに、患者の状態の変化等により、がん治療連携計画に基づく治療方針の変更が必要となった場合についても評価をしてくれるようです。
(現行案)
がん治療連携計画策定料 750点
(算定要件)
入院中にがん治療連携計画を策定し、退院時に別の保険医療機関に当該患者に係る診療情報を文書により提供した場合
(改定案)
がん治療連携計画策定料1 750点
(算定要件)
入院中
又は退院の日から30日以内にがん治療連携計画を策定し、別の保険医療機関に当該患者に係る診療情報を文書により提供した場合
(新設)
がん治療連携計画策定料2 ○点
(算定要件)
がん治療連携計画策定料1を算定した患者であって、状態の変化等により計画の変更が必要となり、連携医療機関から計画策定病院に紹介され、計画の変更を行った場合(がん治療連携指導料を算定した場合に限る)、月1回に限り算定する。
■「
リンパ浮腫指導管理料」の手術後に受けた2度目の指導も評価
■
「
リンパ浮腫指導管理料」も算定要件のケースが拡大されることになりました。具体的には、手術を行った保険医療機関だけではなく、手術後に地域の保険医療機関において2度目の指導を受けた場合にも評価されることになりました。
(現行案)
リンパ浮腫指導管理料 100点
(算定要件)
当該点数を算定した患者であって当該保険医療機関を退院したものに対して、当該保険医療機関において、退院した日の属する月又はその翌月に規定する指導を再度実施した場合に、1回に限り算定する。
(改定案)
リンパ浮腫指導管理料 100点
(算定要件)
当該点数を算定した患者であって当該保険医療機関を退院したものに対して、当該保険医療機関
又は術後に地域連携診療計画に基づいた治療を行う当該別の医療機関(がん治療連携指導料を算定した場合に限る)において、退院した日の属する月又はその翌月に指導を再度実施した場合に、当該指導を実施した医療機関において1回に限り算定する。
■「
がん患者カウンセリング料」の転院先の病院でも算定可能に
■
がん患者さんの視点に立った、切れ目のない継続的な療養支援を実現するために、がん患者さんが転院する場合、その患者さんを受け入れた医療機関で、がん患者カウンセリングを実施した場合の評価が加わりました。
(現行案)
がん患者カウンセリング料 500点
(算定要件)
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、がんと診断された患者であって継続して治療を行うものに対して、当該患者の同意を得て、当該保険医療機関の保険医が看護師と共同して、診療方針等について十分に話し合い、その内容を文書等により提供した場合に、患者1人につき1回に限り算定する。
(改定案)
がん患者カウンセリング料 500点
(算定要件)
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、がんと診断された患者であって継続して治療を行うものに対して、当該患者の同意を得て、当該保険医療機関の保険医が看護師と共同して、診療方針等について十分に話し合い、その内容を文書等により提供した場合に、患者1人につき1回に限り算定する。
ただし、地域連携診療計画に基づいた治療を行う当該別の医療機関に転院した場合は転院先の医療機関(がん治療連携指導料を算定した場合に限る)においても患者1人につき1回に限り算定できる。
以上のように、次回改定では、がんの地域の「
診療連携」の評価がさらに細かく要件化され、若干、内容の厚みが増したように思えます。増加し続けるがん患者さんに、より質の高い標準的な医療を提供するために、今後さらにがんの診療連携を促進する方向へと医療政策は動いていくことでしょう。
参考資料:中医協資料 総-2-2「個別改定項目について(その2)」から
「がん診療連携の充実」P9から12
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021ck1-att/2r98520000021cp3.pdf
広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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