2014年08月08日
社会保障審議会・介護給付費分科会は7日、介護保険3施設ごとの介護報酬をめぐる議論をスタートさせました。この日は介護療養型医療施設と介護老人保健施設(老健施設)への報酬の見直しがテーマになり、厚生労働省は、このうち介護療養型医療施設が担ってきた高齢者の長期療養などの機能を引き続き確保する方針を示しました。認知症や慢性疾患を抱えた要介護状態の高齢者が今後、急激に増えると見込まれるためで、こうした役割をどのように存続させるかが論点になります。
介護療養型医療施設は、介護保険適用型の療養病床を整備して医療が必要な要介護高齢者の長期療養を受け入れるのが役割です。医療保険適用型の療養病床との役割分担が曖昧なこともあって、国は当初、介護療養病床を12年度末までに廃止する方針でしたが、11年には整備済みの病床について、廃止期限を6年間延長した経緯があります。老健施設などへの転換が進まないことなどが、期限延長の理由です。
現在は介護療養病床の新設は認められておらず、厚労省によると、06年に12万床余りあった介護療養病床は、13年度には7万1000床にまで減りました。ただ、同省によると、介護療養病床では「喀痰吸引」や「経管栄養」「24時間持続点滴」といった医療処置を医療療養病床に次ぐ頻度で実施していて、高齢者を看取る件数もほかの介護保険施設を上回っています。
また、介護療養病床で受け入れている高齢者は、05年には「医療区分1」が57.9%で医療療養病床の53.0%と大きな差がありませんでしたが、10年には医療区分1の患者が72.6%にまで増えました。これに対し、医療療養病床による医療区分1の受け入れ割合は、同じ年に看護配置20対1の病棟で12.8%、25対1の病棟で36.0%にまで減っていて、厚労省は「介護療養病床と医療療養病床の機能分化が進んでいる」と指摘しました。
介護給付費分科会では、介護療養病床によるターミナルケアや看取りが医療療養病床とどう違うかなどを話し合った上で、15年度介護報酬改定での対応を決めることにしています。
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