2014年05月26日
佐久総合病院、分割後に効率的な医療提供-西澤副院長「医療の再構築狙い」GHCセミナーで
GHCは24日、東京都内でセミナーを開き、佐久総合病院(長野県佐久市)の西澤延宏副統括院長・副院長が、今年3月に病院を分割した狙いについて医療機能の分化につなげて再構築する狙いだったと語りました。分割後は、従来の佐久総合病院本院(309床)で地域医療をカバーする一方、高度医療を提供する「佐久医療センター」(450床)を新たに立ち上げ、医療センターでは入院期間が短縮するなど効率化が進んでいるといいます。
セミナーは「“やりたい医療”から“求められる医療”へ 機能分化の必要性を追求」がテーマで、全国の病院関係者ら約260人が参加しました。
西澤氏は講演の中で、佐久総合病院を分割させた狙いや現状を語りました。それによると、佐久総合病院本院では現在、10対1の看護配置を敷いて、救急医療や回復期リハビリテーション、慢性期、在宅医療などをカバーしています。
これに対して佐久医療センターには、「救命救急センター」「がん診療センター」や「脳卒中・循環器センター」など4つのセンターのほか、特定集中治療室(ICU)やハイケアユニット(HCU)も整備。全身麻酔が必要な症例はすべて佐久医療センターに集め、今後は地域医療支援病院の認定取得やDPC病院Ⅱ群への参入を目指します。
佐久総合病院本院では一般急性期の病院として幅広い医療ニーズに応え、佐久医療センターでは高度な急性期病院として重症の患者を受け入れるイメージです。医師会やほかの病院とも協力して地域全体の医療ニーズに対応する方針です。
同病院がある「佐久医療圏」には急性期の病床が多い一方で回復期や療養病床がもともと少なかったといいます。医療機関自体も少なく、健康管理から在宅医療まで、同病院がすべてのステージに単独で対応する「病院完結型」の医療提供にならざるを得ず、ほかの医療機関との連携も進んでいませんでした。
しかし、建物など設備の老朽化が進んだり、地域全体の医師不足の影響で患者が集中したりして、西澤氏はこうした形での対応に限界を感じていたといいます。病院の分割に踏み切ったのは、医療機能を分化させることで、地域の限られた医療資源を有効活用できるようにするためでした。
本格的な高齢社会の到来をにらんで医療の機能分化を進める方針を政府が打ち出したのは、同病院が分割を決めた後のことだったといい、西澤氏は講演で「われわれの考えはまんざら間違っていないと、背中を押された」と振り返りました。
新体制のスタートから3か月近くが経ち、佐久医療センターでは現在、病床の稼働率を高く維持したまま平均在院日数を12日前後まで短縮できていて、今後は急性期機能を一層強化する方針です。
ただ、本院では入院期間の短縮が困難な状況だということです。西澤氏はこのほか、分割によって本院と医療センターで勤務を掛け持つスタッフの移動の負担が増えたり、組織の一体感が薄まったりといった課題も上げました。
本院では、今年11月に地域包括ケア病棟を開設する予定で、これを足掛かりに入院期間の短縮を進める考えだといいます。西澤氏は、「病院単体でやっていく時代ではもうない。いろいろな機能を有機的につなげて、地域の住民に良いサービスを提供していくのが佐久総合病院グループの使命。病院分割はそのための第一歩だ」と話しました。
24日のセミナーには病院関係者ら約260人が参加しました
広報部 |
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