GHCブログ

2014年04月02日

内科技術をⅡ群要件に、GHCが分析「内保連グリーンブック」

内科系学会社会保険連合(内保連)、看護系学会等社会保険連合(看保連)、外科系学会社会保険委員会連合(外保連)で構成する三保連の合同シンポジウムが3月28日東京都内で開かれ、内保連の小林弘祐・副代表が「内保連グリーンブックVer.1」(グリーンブック)を紹介しました。内保連では、重症脳卒中や急性心筋梗塞、劇症肝炎など重篤な26疾患を診療に伴う負担が大きく、内科系の高度な技術を伴う「特定内科診療」としてピックアップ。DPC病院Ⅱ群の実績要件のうち、「高度な医療の実施」の度合いを判断する指標に「特定内科診療」の症例数を組み込み、内科系の技術を診療報酬の評価に反映させるよう提案しています。 グリーブックには、特定内科診療の症例がDPC対象病院にどのように分布しているかや、これらの診療実績をDPC病院Ⅱ群の実績要件に組み込むとどのような影響があるかなどの分析結果が盛り込まれました。これらの分析はGHCが内保連から全面受託したものです。 DPC対象病院がⅡ群に入るには、現在は「高度な医療の実施」のほか、「診療密度」(1日当たり包括範囲出来高平均点数)など4つある実績要件のすべてでⅠ群(大学病院本院)の最低ラインをクリアする必要があります。「高度な医療の実施」状況は、手術1件当たりの外保連手術指数(協力医師数補正後)など3つの指標で判断する仕組みで、いずれも外科系の技術を評価する内容です。 これに対して内保連による提案は、26の特定内科診療のうち25疾患について、①全症例数を月数で割った値②1か月間の症例数を平均病床数で割り、100を掛けた値③Ⅰ-Ⅲ群の対象症例数を総入院症例数で割った値(症例割合)―を「高度な医療の実施」の指標に組み込み、全部で6つの指標のうち5つでⅠ群の最低ラインの基準をクリアすれば、この実績要件をクリアしたとみなすというものです。 小林副代表は合同シンポジウムで「外科系の技術が優れている病院が、内科系の技術も優れているとは必ずしも言えない」と、現在の仕組みを問題視しました。内保連では、2016年度以降の診療報酬改定で新たな仕組みに変更するよう働き掛ける方針です。?
「高度な医療」の達成率、内保連提案なら上昇
特定内科診療の症例(598病院の計5万2338症例)の分布状況を「Ⅰ群」と「Ⅱ・Ⅲ群」で比べると、Ⅰ群では①の月間症例数と③の症例割合が多くなりました。②の100床当たり月間症例数は、「Ⅰ群」と「Ⅱ・Ⅲ群」でほぼ同じでしたが、「Ⅱ・Ⅲ群」ではばらつきが大きくなりました。 これは、難度の高い手術を多く実施しているⅡ群の病院でも、内科系の重篤な疾患にはそれほど対応できていなかったり、逆に難度の高い手術を実施できていないⅢ群の病院の中に、内科系の疾患の治療に強かったりするケースがあるためと考えられます(図表=クリックすると拡大します)。 一方、内保連が提案する3つの指標を加えた場合、6つの指標すべてで基準をクリアする病院は「Ⅱ・Ⅲ群」のうち5.6%で、現在の3指標の達成率(8.0%)に比べて厳しくなることが分かりました。これに対し、6つの指標のうち5つで基準をクリアした病院をⅡ群に位置付ける場合の達成率は9.9%で、現在よりもやや緩やかになりました。 グリーンブックの内容は内保連のホームページで確認できます。 看保連がこの日発表した分析もGHCによるものです。こちらの内容は4月3日のブログでご紹介します。 内保連_25疾患分布20130617

広報部
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。