2014年02月19日
大雪の電車内で医療経済学を講義? スタンフォード大ジェイ教授インタビュー
先日のブログ(『
日本の医療界に衝撃か、スタンフォード大との共同論文、完成へ』)で紹介させていただいた、
GHCとの共同プロジェクトを推進する米スタンフォード大学医学部教授のジェイ(Jay Bhattacharya)が率いるチーム(
マイク:Michael P. Hurley、
レナ:Lena Schoemaker)に、
GHC海外プロジェクト担当マネジャーの古谷がインタビューしましたので、ご紹介します。
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「ジェイの講義が私の人生を決めた」
古谷:レナは日本へ来たのは初めてですか?また、日本に対してどのような印象を持たれましたか。
レナ:大雪で交通機関に大きな影響が出た2月8日の数日前に来日しました。ジェイは大変な思いをしたようですが、一足先に現地入りしたため、難を逃れることができました(笑)。
レナ(Lena Schoemaker)
来日を早めたのは、世界的にも有名な渋谷、原宿、明治神宮、皇居などを訪れたかったためです。
日本に対する印象は、とにかく人が優しく、礼儀正しいことです。私は車いすでの移動となるのですが、飛行機や電車の乗り降りの際、必ず誰かが付いてくれます。観光をしているときも、様々な人が声をかけてくれたり、荷物を持ってくれたりなどしてくれました。
古谷:なぜジェイの研究室に入ったのですか?
レナ:元々、スタンフォード大学ではhuman biologyを専攻していました。その頃は、正直言って経済学にあまり興味はありませんでした(笑)。
しかし、大学時代に
ジェイの社会保険制度のクラスを取り、そこで聴いた講義の内容に興味を持ちました。まさに、ジェイの講義は、私の人生の分かれ目になったと思っています。大学を卒業後、ジェイの研究室に入り、2年近く経っています。
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患者のケアが手厚いと、訴訟リスクは減る?
古谷:ジェイは来日の際、大雪の影響を受けたようですが、具体的にはどのような状況だったのでしょうか。
ジェイ:大雪になった2月8日、日本時間で16時に成田へ到着しました。元々、ホテルまでリムジンバスに乗って行く予定だったのですが、それがキャンセルに。仕方なく成田エクスプレスに乗ろうとしたのですが、こちらも運休。さらに京成スカイライナーに乗ろうとしたのですが、何とこちらも運休。
最後の手段としてローカル線に乗ったのですが、全体の1/4くらいまで進んだところで、停止してしまいました(笑)
ジェイ(Jay Bhattacharya)
ドルを円に換金するのも忘れていましたし、社内アナウンスも日本語なので状況が全く分からなかったのですが、周囲の方がとっても親切だったため、救われました。特に
隣に座っていた方は英語が堪能で、思わず私が今やっている研究の話をしてしまったくらいです(笑)。 結局、車内で一晩を過ごし、ホテルに着いたのは翌日の16時。成田空港からホテルまで、24時間もかかってしまいました。
古谷:それは大変でしたが、かなり貴重な体験をしましたね(笑)。ところで、今取り組んでいる研究のテーマはどのようなものなのでしょうか。
ジェイ:アメリカでは2003年から医師の研修は週80時間までと法律で定められましたが、それ以前まではもっと研修時間が長いことが多かったんです。この法律は医師が安全に診療を行えるように定められたのですが、施行される前後でアウトカムが違うのか、あるいは患者のケアを手厚くする(検査などをたくさん行う)と、訴訟リスクが軽減するかどうかなど、
医療政策が現場に及ぼす影響、医療の質向上による患者からの印象、などをテーマに研究を行っています。
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外科医を取るか、研究者を取るか
古谷:マイクは以前インタビューさせていただきましたが(『
日本とアメリカのデータを分析するおもしろさ』)、医師として、研究者として、今後はどのようなキャリアを目指していきたいのですか。
マイク:医師、研究者の両方に興味があります。まず、手術をするのは面白いと思うので、外科医になりたいと思っています。しかし、研究者としての道も考えるのであれば、外科医の道を目指すことに、ジェイが猛反対しています(笑)。
外科は手術の件数をこなしていかないと技術がついていかないので、研究に集中できなくなるためです。
マイク(Michael P. Hurley)
もちろん、研究にも興味があります。
研究では医学以外のことを考えたり、それでもやはり患者のことを中心に考えたり、そのためにより良いシステムのことを考えたりなど、とても広範囲でクリエイティブなことができる可能性を秘めています。外科医としての道、研究者としての道、正直、このどちらがいいのか、まだ答えは出しきれていません。
間もなく国家試験を受け、その後臨床研修が始まるので、経験を積みながら答えを探したいと思います。
古谷:本日はありがとうございました。明日、明後日も論文提出直前の議論、さらには新たな共同研究テーマのブレストとなりますが、引き続きよろしくお願いします(スタンフォード大チームとの会議は2月10日から2月12日に実施。詳細は『
日本の医療界に衝撃か、スタンフォード大との共同論文、完成へ』を参照。インタビューは2月10日に行いました)。
広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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