2013年12月12日
中医協総会 HCU・ICU管理料要件が厳格化、嚥下訓練を評価
12月11日、中医協総会が都内で開催され、6日に行われた総会に引き続き、個別事項(その5:勤務医等の負担軽減等)と個別事項(その6:明細書の発行、技術的事項)が議論されました。今回、注目した議題は、
「ハイケアユニット入院医療管理料」と「特定集中治療室管理料」、「
胃瘻(いろう)と嚥下訓練」についてです。
ハイケアユニット入院医療管理料(以下、HCU管理料)と
特定集中治療室管理料(以下、ICU管理料)の重症度の評価は、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度(仮称)と同様に、A項目(処置項目)と、B項目(患者の状態)からなります(項目は一般病棟用とは一部異なります)。現行のHCU管理料は、A項目が3点以上、「または」B項目が7点以上である患者が8割以上であることとされていますが、これを「または」から「
かつ(ともに満たす)」へと
厳格化される方向です。さらに、一般病棟と同様に、血圧測定、時間尿測定、喀痰吸引が削除される可能性もあり、その場合厚労省資料によると、
なんと42%の病院しか要件を満たさなくなります(図1参照)。
ICU管理料の評価にいたっては、現行の要件はA項目3点以上、「または」B項目3点以上の患者が9割以上ですが、提案された新たな基準である「
かつ」の場合、
要件を満たす病院はなんと約1/4のみ。
激変緩和のための経過措置の設定や基準該当患者の割合を下げようとの提案も出ていますが、ICU、HCU=高度急性期として厚労省が患者像を定義づけし、その像に合った患者のみを在室させるという強い意気込みを感じますね。
ICU、HCUを持つ病院が大きな影響を受けるのは必至、病床運用の見直しが必要です。
図.1
出典:第264回中央社会保険医療協議会 総会(12月11日開催)
厚労省配布資料(総-1)P188より
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031881.pdf
図.2
出典:第264回中央社会保険医療協議会 総会(12月11日開催)
厚労省配布資料(総-1)P191より
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031881.pdf
「
胃瘻(いろう)と嚥下訓練」では、日本の胃瘻造設数(人口百万人当)は、英国の10倍以上という驚くデータも出ました。嚥下機能評価を実施せずに胃瘻を造設している例が22.9%存在する一方で、原則全例に嚥下機能評価を実施してから胃瘻を造設する施設は25.8%と、
施設により胃瘻造設基準が大きく異なる実態が明らかになりました。
適切な嚥下訓練で経口摂取に戻る可能性あることを示したうえで(図3)、
高い割合で経口摂取可能な状態に回復させることができている医療機関における胃瘻閉鎖術や摂食機能療法を評価することになりました。
医療の質に加え、患者の生活の質という観点を含めた評価のありかたへの変更に注目です。
図.3 嚥下機能訓練の実施と効果について
出典:第264回中央社会保険医療協議会 総会(12月11日開催)
厚労省配布資料(総-2)P41より
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031923.pdf
また、今回の総会では、中医協での議論を経て取りまとめられた診療報酬に関する中医協としての意見書(「
平成 26 年度診療報酬改定について」)が、森田朗・中医協会長(学習院大学教授)から、田村憲久・厚労相の代理である、木倉敬之・厚労省保険局長に手渡されました。
意見書の内容は
、支払側は「診療報酬全体ではマイナス改定とすべき」との意見。
診療側は「消費税率引上げ対応分を除いた全体(ネット)プラス改定は必須」と真逆の意見を提出しています。改定率をめぐる攻防は、年内には決着がつく予定。各団体・組織の動きや発言がさらに活発になるでしょう。
【参考資料】
中央社会保険医療協議会 総会 (第264回)議事次第
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000031664.html
平成 26 年度診療報酬改定について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031918.pdf
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